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黒白ノ風
184 蛇人
 「・・・ここだよ」
カブトはある部屋のドアの前で立ち止まるなりそう言った。
…止まった場所は大蛇丸のアジトの中でもいたって普通のドアの前。
そのドアの左右の壁には火が灯り、メラメラと燃えていた。

ガチャ
 「…アラ、来たのね」
この納豆を壁にぶつけたようなねっとりとした声は…
・・・大蛇丸。
大蛇丸はごちそうがずらりと並ぶテーブルの上に肘をつき、暇そうに手を組んでいた。

 「昼辺りからアジトにお邪魔してる水野サチでーす」
 「フフ、知っているわ」
一応自己紹介をする。
まぁ両方とも顔見知りなのでその必要はないと思うのだが。
大蛇丸とはこれまでニ回会ったことがある。
一回目に会ったのは中忍試験、第2の試験の時に。
ニ回目に会ったのは、これまた中忍試験本選途中での木の葉崩しのさなかの時であった。

 「まさかサスケ君に会いに来る子がいるなんてね・・・サスケ君、アナタの彼女かし…」
 「そんなわけないだろ!ありえない!!…これだからオカマは嫌いだ」
サスケは大蛇丸の発言をさえぎり、軽く私を罵る。
それだけではとどまらず、大蛇丸にまでも“オカマ”と吐き捨てた。
 「またそんな口のききかたを…」
そんなサスケにカブトは注意するものの
 「うるさい。黙れメガネ」
サスケに毒をはかれ、黙った。
 「あははー」
乾いた笑いを漏らす私。
…サッスン今日は罵りdayなのか?

少しばかり心に傷をおい、うなだれていた大蛇丸が起き上がった。
 「・・・まぁ、食べましょ」
 「…フン、そうだな」
サスケは鼻で笑うとごちそうに箸をつけ始めた。
 「いただきまーす」
それを見、私も箸に手をかけた。
…どうしよう。
目の前にあるのは玉子焼きと鯖の味噌煮と麻婆豆腐とミネストローネスープとグラタンと…
ってありすぎでしょ!!
これが3人で食べる1食分の夕飯の量か?
三食分以上ある気が…
しかも和風、洋風、中華風ごちゃまぜ。

 「・・・」
とりあえず私は一番近くにあるロールキャベツを口に運んだ。
 「…うっ」
・・・これは。
ちらりと大蛇丸に目をやると微かに口元がつり上がっているように見えた。

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あきゅろす。
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