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黒白ノ風
091 制裁
動揺や油断していたということもあり、カカシ先生はおいろけの術を使用したナルトに捕まったのだった。
 (今だ、サチ)
ナルトが私に向かって言う。
 (わかっちょるよ)
私はナルトにそう言うとカカシ先生向かって走り出した。
カカシ先生はというと、ナルトを振り払おうと必死になっていた。

そんなカカシ先生へと接近中の私。
足にチャクラをため、更に加速した。
そして、自分の拳にもチャクラを思い切りためたのだった。

 「全く、油断してたヨ」
やっとのことでナルトを振り払ったカカシ先生。
そう言い、一息ついている。
振り払われたナルトはというと、地面にしりもちをつき「イテテ」などとつぶやいている。

 「ナルト、いきなり…ッ!」
カカシ先生はナルトへと向き直り、説教でもしようと思っていたのであろうか。
しかし、その言葉はそこでさえぎられた。
目にも止まらぬ速さで私がカカシ先生めがけてパンチを放ったのだ。
先程私が拳にチャクラをためていたのはカカシ先生に重い一発をくらわすためである。
チャクラを上手く利用すると威力が飛躍的に高まるのだ。

私のパンチをくらい、後方へと思い切り飛ばされるカカシ先生。
私も気配を消して攻撃を仕掛けたのだが、流石腐っても上忍。
反射的であろうか。
とっさに私のパンチをガードしていたのであった。

 「くっ」
そう言い、空中を舞うカカシ先生。
空中でくるっと回って態勢を立て直し、地面へと着地した。
はずだったが・・・
ガコン!
そう音を立て、カカシ先生のいる地面が音を立てて崩れた。
何を隠そうカカシ先生が着地したのは私が土遁で大穴を開けた場所だったのだ。
まぁここまでは何とか計算通り。
カカシ先生が落ちた穴からは
 「ぁ゛ぁぁァァァ〜」
などと断末魔が聞こえた。
 「あはは、ザマーみろってば!」
とナルト。
 「ウスラトンカチ」
とカカシ先生に対してサスケ。
 「カカシ先生ー!」
とサクラ。
心配そうにカカシの名前を呼ぶが、微塵にもそんな風には見えない。
そればかりか口元がにやけ、楽しんでいる様子だった。
 「わー、落ちた落ちたW」
あからさまに楽しんでいる私。

私は穴を覗き込む。
奥の方からまだ
 「ぁぁー」
などと声が聞こえた。
まだ落下中ということであろうか。
本当に深く掘りすぎたかもしれない。
まぁカカシ先生なら生きてるよ。上忍だしね。

私は落とし穴付近にあるマヨネーズに手をかけた。
赤いキャップを外し、容器を落とし穴へと傾ける。
 「サチ何してんだってば?」
するとナルトがいぶかしげな顔で問いてきた。
 「んー、プレゼントだよv」
私はそう笑顔で言い、中身を落とし穴の中へと思い切り押し出したのだった。
落とし穴の暗闇へと消えゆくクリーム色の物体。
 (マジえげつねぇー!)
ナルトからはこんな発言。
 「ぎゃー!」
落とし穴の奥底で更に断末魔があがった。
 「おー、かかったかかったv」
私はそのカカシ先生の様子をけたけたと笑いながら見守った。
先程まで私除く第7班のメンバーはカカシ先生を馬鹿にしていたが、今や同情している者の方が多い。

・・・
カカシ先生の断末魔がなくなり、辺りは静寂に包まれた。
私は今だにカカシ先生が落ちた(落とされた)落とし穴を覗き込んでいた。
 「んー、静かだね」
と私。
 「カカシ先生ってば本当に死んじまったんじゃねぇの?」
それに答えるようにナルト。
 「あはは!うける!W」
 「今日のサチ何か怖いってばよ」
 「これから遅刻するとどうなるか、ってことを身をもって知ってもらわなきゃねぇ」
 「まぁ確かにこれで遅刻はなくなるってばね」
ボコッ
 「ぷはっ」
丁度ナルトが話し終えた頃、カカシ先生が地中から顔を出したのであった。
地面に手をつき、這い上がる。
そのカカシ先生の頭と肩にはべっとりとマヨネーズが付着していたのであった。
 「あ、生きてた」
 「あ、生きてた、じゃないよ。全く…」
 「先生が遅刻するからいけないんだよ」
私は笑いながら言い放った。
 「・・・ハイハイ・・・ま!任務行くか」
 「そのクリーム色がかかった頭で?」
 「サチがやったんでしょ」
カカシは私を横目で睨みながらそう言うと歩き始めた。
カカシ先生のマヨネーズがついた頭は風になびき、ギトギトしていた。

この後、私達はいつも通り任務を遂行したのであった。

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