黒白ノ風
090 的外
ー三時間後ー
「…遅いね」
「全くだってばよ」
(マジ暗殺してェ)
一時間たっても二時間たってもカカシ先生は来る気配が全くなく、とうとう私達は三時間も待たされるはめになった。
ナルトはあらゆるイライラが重なり、たんたんと足踏みをし始めた。
「ナルト、びんぼーゆすり凄いね」
「今日も遅すぎだってば!!」
「確かにね」
そんな会話をしていると、遠くで銀髪の男性がのそのそと歩いてくるのが見えた。
その男性、カカシ先生は私達の近くまで歩み寄る途中に右手を挙げ、言った。
「やー諸君おはよう!」
…と。
もはやおはようの時間は過ぎた。
それなのにのんびりとした口調でこんなことを言われると更にイライラしてしまう。
「今日は道に迷ってな」
と言われたからにはたまったものではない。
「いつも真顔で大嘘つくなっ!」
「忍者失格だってばよ!」
「遅い!」
上からサクラ、ナルト、私である。
カカシ先生は私達の言葉を軽く横へ流しながらこちらへと歩いてくる。
そうなるとカカシ先生はゆっくりと落とし穴へ近づくわけである。
私達の心が高鳴る。
いまかいまかとカカシの行方を見守る。
落とし穴に落下するまであと5歩、4歩、3歩、2歩…1・・・
「ヨシ、そういうことで任務行くぞ」
あと1歩というところでカカシ先生が止まってしまった。
まさか落とし穴に感づかれたか。
いや、そんなことはない。
・・・どこまで悪運が強いんだ。
カカシを抜いた第7班のメンバーはじれったい雰囲気になる。
サスケですら残念そうな表情になる。
サクラはしゃんなろーー!!
と心の中でカカシ先生のことを毒づいているであろう。
・・・こうなったら。
(ナルト、作戦Bに変更!)
(おぅ、了解)
私はナルトに作戦変更の合図をした。
するとナルトは印を組みはじめる。
「変化!」
そうナルトが言うと、白煙が立ち込めた。
カカシ先生はというと「ん?」などと呟き、イチャパラに向かっていた目をナルトに向けた。
カカシ先生が見る先にはおいろけの術を使用したナルトがいた。
長髪の金髪を上辺りで2つにしばっている。
普通ではそうそういない見事なボン、キュ、ボンである。
「ナルト、どーしたの?」
とカカシ先生はナルトに対し、普通に対応する。
しかし、内心ウッハウハであろう。
そんなカカシ先生にナルトは更に追い討ちをかける。
「せんせぇ〜ん、任務よりもっと楽しいコ・トv私としなぁい??」
ナルトはかなりの猫なで声だ。
しかもカカシ先生にすりよっている。
(おえっ、オレきもっ)
しかし会話術ではこんなことを言っている。
そんな変化をしたナルトに対し、カカシ先生は・・・
「・・・い、いやぁ。こ、これから任務だし…い、いや、こいつはナルトだ!うんそうだ」
かなり動揺していると見える。
この子はナルトナルトナルトナルト・・・と、うわ言のようなものが聞こえるのは気のせいではない。
カカシ先生の愛読本、イチャパラではこの様なエロちっくな展開が沢山あるだろう。
しかし、今のように現実でエロちっくな展開が自分の身におこることに対しては対抗が無いのであろう。
(いくぜ、サチ)
ナルトは私にそう言った。
瞬間、ナルトはカカシ先生の両腕を掴んで動きを止めたのであった。
カカシ先生は動揺していたため、反応が遅れた。
そしてそのまま、あっけなくナルトに捕まってしまったのだった。
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