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黒白ノ風
87 贈物
あれから1週間。
サスケと意味不明な修行をして過ごした。
意味不明な修行とは、準備体操のストレッチと時速50km程度のクリ○ーや納豆を出現させ、それを仕留める修行だ。

様々な試行錯誤の末、時速150kmほどまでスピードが上がることが判明した。
サスケによると、
 「写輪眼を慣らすのに丁度よかった」
らしい。
しかし、私からしてみれば
 「意味不明」
である。

何故クリ○ーと納豆が出現したのかというところが一番の疑問点であった。



本題の護衛任務はというと…
おととい辺りに橋造りが終盤にさしかかった。
そういうことで昨日、木の葉に帰るために荷造りをしたところ。
予想通り、昨日、橋が無事完成したのだった。





 「おかげで橋は無事完成したが、超さみしくなるのォ…」
今回の依頼人、タズナが言う。
空は青く晴れ、真っ白な雲が気持ちよさそうに泳いでいた。
波の音が心地いい。
只今、私達第7班は無事完全した橋の入り口にいた。
ギイチ含め、タズナ一家もいる。
任務完了ということで私達は木の葉の里へと帰るわけなのだが、タズナのおっさん達が見送りに来てくれた。
まぁツナミさんとイナリはいいとして、タズナとギイチ・・・おっさん2人に見送られてもあまり嬉しくはないのだけれど。

その手に持ってる酒、橋の完成祝いにぶっかけてやろうか。
いい育毛効果になるかもしれないぞ。
と、私は何とも失礼なことを思っているところ。



 「お世話になりました。・・・ではこれで」
カカシ先生が口を開いた。
そしてきびすを返し、木の葉の里向けて歩きはじめた。
私達もそれに同調して歩きはじめた。
石造りの橋は私達が歩いてももろともせず、しっかりと橋の役割をはたしていた。

橋を踏みしめ、思ったことが一つ。
私達は無事、おっさん護衛の任務を遂げたのだと。
おっさんが生きているからこそこの橋の上を歩けるのか。
そうとも思った。
何とも不思議な気分である。





後は森を抜け、後は帰るばかりである。
私達は橋を抜け、しばらく歩いた。
森にさしかかったころ、私は突如冷気を感じた。
 「寒っ」
身を震わせ、つぶやく私。

ザッ
静かな音を立て、突然私達の前に人が立ちはだかった。
カカシ先生やサスケは身構えたが、私はそうしなかった。
この冷気の感じ、白だ。
予想通りと言うべきか、私の目の前には白がたたずんでいた。
その白の背中には再不斬が愛用していた首切り包丁があった。
大層な重さがあるにもかかわらず、それをもろともしていない白は流石というべきであろうか。

 「サチさん、久しぶりです」
白はにっこりと笑い、私に言った。
 「久しぶり!」
私もそれに答えるべく、にっこりと笑った。
 「この前はありがとうございました。ボクはこの再不斬さんの首切り包丁と共に旅をしようかと思います。ボクの夢は再不斬さんの夢を叶えることですからね。これから自由に生きたいと思います」
 「うん、またどこかで会ったらよろしくね!」



白はどうやら生きることを選択したらしい。
またどこかで会えたらいいな。
そう思う私。
つい顔が緩んで微笑んでしまう。
 「それと、手を出して下さい」
 「・・・?」
白からの突然の要求。
私は?を頭に浮かべながら白に言われた通り左手を差し出した。
 「おほっ冷たっ」
それと同時に左手首に冷気。
私はつい声をもらした。
左手首を見ると真っ白に透き通った氷のようなブレスレットが付けられていた。
 「きれー」
 「お礼です。サチさんは水遁使えましたよね?ボクのチャクラを練って作りましたから水の性質のチャクラを練り、放出すれば氷になります。対して邪魔にならないのでいいでしょう」
水の性質を放出すれば氷になる?
凄っ。
私でも氷作れるよ。

 「ありがと、白」
 「いいえ、ではボクはこれで。長居は無用てすから」
 「うん、バイバーイ。また今度ね」
 「はい、また今度」
白は微笑み、風と冷気を巻き上げながら森に消えた。

私に柔らかい風が吹き抜ける。
私は白からもらったブレスレットに手を添え、きゅっと握り締めた。
白がいい人に巡り会えますように。
そう願いを込めて・・・

波ノ国篇 完

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