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黒白ノ風
86 四足
サスケが出した白煙の晴れた先にあったものは、茶色い楕円形の球体だった。
ラグビーの玉くらいの大きさのそれはよく見ると糸を引いていた。

 「…は?」
サスケはしかめ面をし、それを凝視した。
私もサスケと同様、それを凝視する。

すると、
ネチョ
と音を発して玉から棒のような足らしきものが4本生えた。
しかも5つの玉全てから
そいつもまた私が出してしまったクリ○ーと同じようにサカサカと規律よく動き始めた。
ネバネバと糸を引く楕円形の玉の正体は、
納豆そのものだった。

四足歩行の納豆・・・はじめて見た。

サスケはというと、納豆を目で追いながら固まってしまっていた。
…そういえば、サスケの嫌いな食べ物ベスト1は納豆だったような・・・

どんまい、サスケ。
私は心の中でそう思いつつも、木の上へと非難し、サスケを見守った。
すると突然サスケは素早くクナイを取り出し、納豆に向かって投げた。
そのクナイは納豆に当たったものの、
ヌルン
表面がヌルヌルで覆われているため軌道を逸らされたクナイはむなしく地面に落ちた。

 「・・・」
サスケは更にしかめ面になった。

 「・・・きも」
ふと私はつぶやいた。
クリ○ーもないけど納豆の四足歩行もないわ。

サスケは下をうつむきはじめた。
こんな時にサスケ何をしてるんだよ。
 「・・・ぁ」
私は声をもらした。
下をうつむくサスケに一つの納豆が接近中だったからだ。
見るまに四足歩行の納豆はサスケに接近。
このままいけば確実にサスケと納豆が衝突するであろう。

そう思った時、サスケの顔が上がった。
納豆を鋭く睨みつけている。
その双方の目は赤く、獲物をとらえているようだった。
これは、写輪眼。
うちは一族のごく一部の人間にのみ現れる血継限界の一つである。
3ヵ月ほど前に会ったイタチもその血を継ぐ者だった。

サスケはポーチからクナイを5本取り出した。
そして迫り来る四足歩行の納豆にクナイを投げつけたのだった。

ベチョ
と納豆の断末魔(?)があがる。
今度は楕円のど真ん中にクナイが当たり、納豆が消えたのだった。

すると、サスケは私に向かい、言った。
 「サチ、毎日あんな修行してたのか。自分の嫌いなものを出し、嫌いなそれを仕留める。嫌いだからこそその的に当てたいと思う心を利用した修行なわけだな」
 「・・・あぁ、うん、そう…かな?」
何か違う解釈をしているサスケである。

まぁいいか。
一応は修行になってる訳だし。
 「またいつか一緒に修行してくれよな」
 「うん、もちろん!」
ひょんなことからサスケとの修行権を手に入れた私だった。

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