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黒白ノ風
82 仲間
強くなりたい。
寝る間もおしい。

私はまだ深い森修行を続けていた。
森で修行していたというのは少しばかり語弊がある。
私は森の木々を沢山なぎ倒した。
もう森というより荒地といったほうが正しいであろう。

あれから、昼と夜を数回繰り返した。
何日経ったかは覚えていない。
覚えているのは心配そうにするサクラの姿のみであった。
サクラは私の体を案じておにぎりを持って来てくれたりした。
さすがに無碍にはできず、水で胃に押し込んだ。
いつタズナの家へ帰るのかは決めていなかった。
疲れたら帰ろう。
そんな浅はかな思いでいた。

疲労をも忘れた体で体を酷使する。
 「・・・?」
違和感。
・・・誰かいる。

人の気配に気付いた私は小さく息を吸い、
 「誰?」
と私は見えない相手に問いた。
 「一応修行はしてんだな。また気配読むのがうまくなった」
 「…ナルトか」
まだ少し残っている木から現れたのはナルトだった。
私は大して興味なさげに言うと、森林の破壊活動を続けた。

 「ひどい有様だなサチ。…そろそろ修行やめろ。壊れちまうぞ」
 「私は大丈夫だよ」
 「いや、サチじゃなくて森が。環境破壊だ」
「・・・」
…そっちかよ。
と、つっこむ気力すら無い私。



 「…まぁジョークだ。修行なんて毎日の積み重ねだ。そんな急いでも体壊すだけだ」
ナルトは私に帰って来てほしいようだ。
サクラと同様、本当に心配していることが伺える。
 「強くならなきゃ駄目。私がもっと強ければ再不ちゃんは死なずに済んだかもしれないのに」
 「かもだろ?もう終わったことだ。そんな背負うなよ」

 「人も殺した」
 「・・・そういえばそうだな。暗殺の仕事全部俺に押し付けてたもんな。それにしても鮮やかな術だった」
 「私は人を殺したんだよ?」
 「そんなこと気にすんな」
 「私は立派な人殺しだよ…」

 「…じゃあ、俺も人殺しに見えるか?暗部の任務で数え切れないほど人を殺してきた。お前には常に俺が人殺しに見えるのか?」
 「私はそんな風には思ってない」
 「だったら、それと同じだ」

 「でも、それとこれとでは・・・」
 「忍の世界では殺るか殺られるか。そのどちらかでしかない。サチのいた世界では違かったにせよ、ここは忍の世界。
オレたちは忍だ。人を当たり前のように殺す。それが当たり前だ。当たり前のことをするたびにそんな考え込んでたら本当に壊れちまうぞ」

 「・・・うん」
…当たり前か。
私がいた世界は、平和すぎたのかもしれない。
確かに私は考え込みすぎかもしれないな。
ポジティブにいこうって言ったのはどこのどいつだよ。
 「修行、すること自体はいいんだけどな。やり方が問題だ。お前の場合・・・とにかく、そんなに深く考えるな」
深く考えない。
ポジティブに、明るく・・・
 「そか、それもそうだよね」
 「前に進まねぇとな。お前がそんなんだとこっちまで参っちまう」
 「・・・うん、あんがとナルト。何か元気出た」
私はそう言うと懐からマヨネーズを取り出した。
赤いキャップを緩め、中身を吸う。

 「何してんだ?」
ナルトは怪訝な顔で私が手に持つマヨネーズを凝視した。
 「やけ食い。ナルトの話聞いてたらお腹減っちゃった。もう帰るね」
少し屁理屈っぽかったけど、ナルトの言うこと聞いていたら何だか安心した。
サクラの持ってきてくれたおむすびにも手を伸ばす。

・・・おいしい。
仲間っていいな。
改めてそう思った瞬間だった。
私は少し固まったおむすびを完食すると猛スピードでタズナの家へと向かったのだった。

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