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黒白ノ風
79 加速
敵を払いのけ、やっとのことでガトーのしもべ達のくんだまりから抜け出した白。
あれほどまで沢山いたガトーのしもべ達もあっけなく倒され、橋に残るはガトーのみとなった。

白はそれを確認すると風を切り、橋の上を加速しはじめた。
白が走り去った場所に残るは無惨な死体のみ。



無数の死体を見下ろし、思う。
自分が殺したのか。



もっと他の方法があったのでは?
ガトーさえ撃ち抜けば一瞬で終わった。
けれど白の気持ちを無視できなかった。
終わってみて酷く後悔した。

でも、どうせ白が殺してしまったであろうから。
とポジティブにも考えてみる。

・・・まぁ考えていても何も始まらない。
私はそう思い立ち、とりあえず白の動きを見守ることにした。



手始めに白はガトーの両腕に向かって二本の千本を投げていたのだった。
 「ぐあぁぁっ」
致命的にならない場所、腕。
ただ痛みのみがガトーを支配する。
大層な出血が無い限り死ぬことはまずないだろう。
この白の行動を見ていると、どれほどガトーを憎んでいるのかが痛いほど伝わってくる。

 「次行きますよ」
白は冷たくガトーに吐き捨てた。
そしてまたもや千本を二本、今度はガトーの両足に向けて投げた。
 「ぐぅ!」
ガトーは苦痛に顔をしかめる。
この様子からすると壮絶な痛みがあることが伺える。
 「フフ、痛いですか?当たり前ですよ。わざと痛い場所に投げているのですから。
今アナタを殺しても気が済みません。これで終わりにします」
白は静かに千本を取り出し、構えた。

 「ま、ま、待ってくれ!・・・な、何が欲しい?何でもくれてやる!」
ガトーは命ごいをはじめた。
作り笑いを浮かべ、白にすがりつく様はまさに滑稽という言葉が似合っているだろう。
 「往生際が悪いですよ」
白は聞く耳をもたない。
そう吐き捨て、構えた千本を…投げた。
グサッ
千本がガトーの心臓を射抜いた。
ドサッ
ガトーは悲鳴をあげる間もなく、重力に逆らうこともなく地面へと倒れた。



これまで波の国での事、全てが終わった。
そう思えた。

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