黒白ノ風
77 冷笑
どこからわいたのか、杖をコツ…と地面につきながら薄笑いするガトー。
ガトーは再不斬を騙していた、金がかかるからだ・・・などとご丁寧に説明まで付け加え、べらべらとしゃべり始めた。
…鬱陶しい。
私は眉をひそめながら白達のいる場所まで移動しようとした。
その途中には、荒い息を不規則的にたてながら片膝をつく再不斬の姿があった。
白のもとまで行く途中に崩れたのだろう。
それもそうだ。
あれほどまでに深い傷を負っていたのだ。
立っていることさえ不思議な状態。
そんな状態の再不斬のもとへと駆け寄った人物。
「再不斬さん…!」
その人物は、白だった。
カカシ先生を氷のドームに閉じ込め、無的確な攻撃を繰り返していた白。
ガトーの存在に気付き、戦闘体勢から抜け出した。
そして再不斬の脇腹のどす黒い赤色に気付いたのだ。
「…サチさん、あなたがやったんですか」
再不斬が仰向けになっていた時には見えていなかった深い傷。
カカシ先生との戦闘前まで再不斬は仰向けになっていたので白からは深い傷は見えていなかった。
そのせいか、白は私がつけたと勘違いしている。
そう考えが繋がったと思ったらいきなり鋭い千本が私に向かって飛んできた。
しかし、それはよけるまでもなく私からだいぶそれた方向へと飛んでいった。
白はもうほとんどのチャクラを労疲していることが見て取れる。
「・・・白、違・・ぅ」
「…そうですか。ではいつ・・・
・・・あの時…ですか…!」
白は少し考え、気付いた。
再不斬がカカシの雷切をよけるために白をどけ、再不斬自信の脇腹にかすったことを。
その傷がこれほどまでとは白も思っていなかったのだろう。
もちろん、私もそうだ。
白は私と同様、後悔しているであろう。
再不斬の役に立てなかった。
怪我していることさえも気がつかなかった。
おそらくそんな心情が頭数の中でぐるぐると回っていることであろう。
「だからわざわざお前たちのような抜け忍を雇ったんだ・・・」
ガトーはというとただひたすらに未だに無意味な説明を続けていた。
口角を吊り上げ、ナメクジのようにねっとりと笑う様は虫酸が走る。
・・・こいつはどこまで邪魔をすれば気が済むんだ。
そもそもこいつが最初からいなければこんなことにはならなかったはず。
そうだったら再不斬も白も多少は追い忍に追われるにしても、普通に暮らしていたはずなのだ。
最初からガトーを狙えばよかったんだ…
「クク、再不斬…お前も私から言わせりゃあただのかわいい子鬼ちゃんってとこだな」
未だしつこいほど喋り続けるガトー。
「・・・許さない」
白が呟いた。
そして続ける。
「再不斬さんを愚弄した罪は重いですね」
白は氷のように冷たく笑うと、立ち上がった。
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