[携帯モード] [URL送信]

黒白ノ風
74 光速
白がカカシを見据える。
それに負けじとカカシも応じている。
写輪眼、雷切を発動し、疲労は目に見えていた。

霧の晴れた橋に沈黙と緊迫した空気が流れる。
実際、霧は晴れたというのにまだ私達と白の間には見えない霧が張り巡らされているような感覚だった。



しばしの睨み合の後、最初に仕掛けたのは白だった。
瞬時に印を結び、術を発動させる。
その術を発動したと同時に辺りに冷気が漂った。
 「!!」
カカシ先生は危険を察知し、後ろへと飛びのいた。
しかし、時すでに遅しである。
カカシ先生は隙間がある氷のドームへと、閉じ込められてしまったのだった。

この術は白の血継限界からくる秘術、魔鏡氷晶の術だ。
サスケをも負かした術である。
白はこの氷でできた鏡の反射を利用し、光の速さでドーム内を移動できるのだ。
光速移動から繰り出される千本による攻撃。
これを防ぐ手立てはもはや皆無に等しい。
今現在この氷のドーム内にいるカカシ先生も同じだ。
写輪眼が使えるにせよスピードを見切る、ましてや脱出などは不可能だ。



私はどうすればいい?
外から攻撃?
いや、光速で移動する白に攻撃を当てることは無理だ。
もし仮に当たってしまったとしても困る。
私は白と再不ちゃんを助けたいのだから。
でも、そうしたらカカシ先生が・・・
今、白は再不斬を傷つけられたことで怒っているはずだ。
その怒りの矛先は、カカシ先生しかいない。
なんせ再不斬の脇腹をかすめた雷切を発動させたのは他でもないカカシ先生なのだから。
…今の思考を簡潔にまとめると、まず第一にカカシ先生の命が危ないということだ。

カカシ先生、超危ないじゃん。
私は焦りながら氷のドーム内を凝視した。

中でうごめく二つの影。
一方は素早く動き、もう一方はクナイを構え、突然の攻撃に備えている。
二つの影とは、僅かな白の残像と無数のかすり傷を負ったカカシ先生だけだった。
 「ぐっ」
カカシ先生は顔をしかめ、傷の痛みに耐えながら次の工程でも練っていることであろう。
カカシ先生の生存が確認でき、内心ほっとする私。



しかし、この光景には少々違和感がある。
白が殺そうと思えばすぐカカシ先生を殺せるはず。
カカシ先生には失礼だが、何故未だにカカシ先生は生き長らえている?
運がいい?
長年の反射神経で致命傷を避けている?
いや、白は光速移動。
チャクラをほとんど使ったカカシ先生にそんな芸当ができるはずがない。

・・・分かった。
…ような気がする。
白の術を前にしても何故カカシ先生が無事なのか。

白の作り出した氷のドーム内、白の行動を見て私は答えを見つけたのだった。

[←][→]

34/47ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!