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黒白ノ風
69 疾走
今日は再不ちゃん達にお金を払う予定だ。
今さっき木の葉の里に戻り、私の家からお金を持ってきたところである。

ガトーが再不斬を雇っているお金の2倍を支払う予定なのだが、それでもなお私の家には札束が数個残っていた。
買い物するには多すぎる。
家ももうあるしチャクラがあるので車もいらない。というよりない。
ギャンブルもしないし膨大なお金を使う機会がないのだ。

仮に少し高い買い物をしたとしてもあの量の札束はなくならないだろう。



今日、私はタズナのオッサンの護衛をしていない。
途中まで護衛をして飽きてきたら分身を置いて木の葉へ行こうと思っていたのだが、その動作すら無駄に思えてしまう。

なんせもうこの橋を襲うのはザコしかいないから。
橋を襲撃する人がいなければ私達はさほど必要ではないだろう。
そうたかをくくり、最初から影分身を橋に向かわせた。

只今私は海上を疾走中である。
大海原。今日は空がとてもよく晴れている。
そこで雲が気持ち良さそうに青空を流れている。

太陽の光が海面に反射していて眩しいくらいである。
木の葉からまた波の国へと向かうわけだが、今度は砂隠れの里がある風の国には上陸しないように注意をしているところ。

ここらへんでサンダル落としたよな。
海上を疾走している半ば、中間らへんでふと思う。
行きの時も思ったことだ。
しかし、今は私の両足には真新しいサンダル。
片足がないのでは不便すぎるので木の葉に戻ったついでにとサンダルを履き替えてきたのである。



そういえば再不斬が橋を襲撃しないとなったら橋の名前はどうなるのだろう。
原作ではナルト大橋だったが、水野大橋なんてものにもなりえるかもしれない。
水野大橋…わはっ、うける
んでも私目に見えることしてないじゃん
ありもしない想像(妄想ともいう)をめぐらせる私。


 ーーーサスケくんってば仕草もかっこいいよね!近くにいるだけでドキドキするわぁ、ってちょっと聞いてるのサチ?ーーー
突然だった。私の頭の中にサクラの恋話が流れ込んできた。

私ははっとする。
影分身が消えたのか?
影分身が消えると、その影分身がしたことが本体に蓄積される。
離れていても状況が把握できたり敵の攻撃などを見極めるのに最適だ。
しかし、どういうことだろう。
影分身が消えた。
私の影分身がサクラの恋話を聞いていなかった。
それに逆上したサクラが私のの影分身を殴り倒した。なんてことも考えられる。



 「・・・!!な…」
なんで?なんでなの??
なんで再不斬と白が・・・
最後に影分身が消え、頭に流れこんできた映像。
再不斬が私に大刀をふりおろした映像。
そこで影分身は消えた。
影分身が消えた原因はサクラではなくその2人だ。
え…どうして?橋の襲撃からは手を引くって言ってたんじゃなかったの?



“どうせ橋を襲うのはザコしかいない”
・・・私は肝心な何かを見落としていたのか?
まさかまだ再不斬と白が…
騙された…?

おそらく私を戦闘に参加させない気なのではないのか。
こうてはいられない。
私は走るスピードを速めた。



今の私が最大限に出せるスピード。
サンダルが海面をはじく。風が痛い。
瞬身の術をナルトに教えてもらえばよかった。
そうすれば一瞬で移動できたのに。
そう思ってはみるものの、足が速くなるわけではない。

…そうだ。
私は印を結んだ。
亥 戌 酉 申 未
そして親指を噛む。
ガリッ
 「お゛っ」
痛い、毎回深く噛みすぎてしまう。
私は血のしたたる手を海面にかざした。

口寄せの術!
ボンッ
と音を立て、白煙が辺りに立ち込める。
煙が晴れると現れたのは白い兎。
そう、真白を口寄せしたのだ。
 「如何したか?サチ
 「今すぐナルトの近くまで乗っけてって!!」 …分かった」
私が焦っているということは誰が見ても分かる。
真白は余計な詮索をせずに快く承諾してくれた。
真白に乗れば私が走っていくより何倍も早く着くし、鼻も利く。



私は狼の姿になった真白にまたがった。
 「我の首にぶら下がった袋から薬を一粒飲め。我が煎じた酔い止めだ」
前方からの真白の声。
私は言われた通りに袋から一粒取り出し、飲んだ。
粒は小さく、水が無くてもすんなりと喉を通った。
そして真白にしがみつく。
 「おっけー」
準備が整ったことを真白に伝える。
 「ゆくぞ」
真白がそう告げた。
すると、空に浮かぶ雲が高速で動いた。
正確には私が動いているのだが。
不思議と気持ち悪くはならなかった。
きっと真白がくれた酔い止めのおかげでもあるのだろう。

大海原の景色を見ていると、また景色が変わった。
緑。木々が生い茂る森の中。
木が真近で通過してゆく。
と思ったらいきなり霧が辺りに立ち込めた。
この霧は・・・再不斬のだ。

やっぱり再不ちゃんか。
どうやら私の思いは伝わっていなかったらしい。
真白は私の心情とは裏腹に霧の中を颯爽と駆けるのだった。

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