黒白ノ風
67 条件
「お前はなぜ俺達にかまう?敵だろうが」
再不斬は私を睨みつけながらそう言った。
隣にいる白も私に向かって千本を構え、敵対心むき出しだ。
私は言葉がつまった。
確かにそう言われればそうだが、私はただ白と再不ちゃんを助けたい。ただそれだけだ。
未来を知ったうえで黙っていることなどできない。
この世界ではその人、1人助けるということは小さなことかもしれないけど、私からしてみればとても大きなこと。
何もしなければ絶対に後悔する。
衝動的に動いて交渉をしている。
「いてもたってもいられなかった。ただそれだけ」
頭で考える前に口から言葉が出た。
私は焦っているのか。緊張しているのか。
どちらでもない。
「フン、とんだ変わり者だな」
再不斬は鼻をならし、私をあざ笑った。
「知ってる。交渉の方だけど、ガトーの二倍の報酬でどう?」
私は再不斬の言葉を肯定した。
そしてまた交渉をもちかける。
暗部に所属している私からすれば膨大なお金が必要なことはそんなに問題ない。
Sランクの任務を遂行するたびに貯まっていく。
火影のじじいにはいらなと言ってあるのだが、気付けば家に置いてある。
少し位恩返しさせてくれてもいいと思う。
どうせ私の家の中でお金が貯まっていくだけならここで使った方がかえってスッキリする。
「ククク、お子様にそんな多額の金が払えるのか。まぁ、その金相応の仕事をしているんだろうなァ?例えば、暗部とかな」
勘がいいな。再不ちゃん。
「よく分かったね。何で?」
私は言う。疑問も付け加えて。
「殺気に慣れすぎている。死に対する恐怖心が感じられない。場慣れしすぎている」
他人から見ればそんな風に見えているのか。
確かに恐怖は寝起きに鬼鮫の顔を間近にした時に消えた。
「ククク、やめだやめ。・・・その交渉乗ってやってもいいぜ。俺はお前みたいなやつも好きだからなァ」
再不斬は言った。
「まじか!よっしゃあ!!」
私はガッツポーズをして喜んだ。
喜んだのもつかの間。
「ただし、ガトーに騒がれて追い忍が来た場合、お前がなんとかしろ」
びっくりした。
ただし。とか言うものだからもっと難しい条件出されると思っていたが。
これで安心できる。
お金は現金一括、一週間後に渡すことを約束した。
再不斬との交渉はいい幕切れとなったのだった。
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