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黒白ノ風
66 立腹
交渉は決裂したが、まだ希望はあるかもしれない。
足りない手札は増やせばいいのだ。

 「何で?」
とりあえず理由を聞いてみる。
相手の望むものが何なのか知ることは今の私にとって最重要だ。
 「何でも何も橋を襲撃しないことで俺達に何の利益がある。大損だ」
再不斬は静かに答えた。



利益…か。
・・・私の存在はあちらからしてみれば木の葉の忍で敵。
占いをかじっている変わった奴。

大損するということはあちらに利益があればいいのか?
…でも、何が利益になる?

そもそもガトーがお金を払い再不斬を雇った。
そこは報酬を上書きしてしまえば覆せる。
しかしガトーを裏切ると多少なりとも騒ぎになる。
この2人は霧隠れの追い忍から身を隠している。
寝返って騒ぎになるよりこのままガトーと手を組む方がリスクは少ない。

今必要なのはお金と、確実な情報だ。


 「・・・ガトーが報酬を払う確率は限りなくゼロに近い。例え白達が私やカカシ先生を倒したとしても用済みとなった白達を始末することもある。
結構報酬高いんでしょ?それを払わなくて済むのだからガトーからすれば利益になる」

漫画を見たから未来が分かるなどとは口が裂けても言えない。言っても意味がない。



 「俺がガトーの雇ったザコどもにやられるとでも?それほどまでにカカシとの戦いで疲弊するとでもいいたいのか?」
先程まで再不斬は普通に話していたのだが、言葉の節々に苛立ちが混ざってきている。

 「写輪眼のカカシを相手にして無傷では戦えない」
私は再不斬を見据えて言う。
苛立ちは承知の上だ。
本当のこと。あちらにとっては認めたくないものなのだろう。

そう思っていた瞬間、
 「テメェ、言ってくれるじゃねぇか」
ドスのきいた声と殺気が私を襲った。
しかし殺気は慣れている。
どうということはない。

しかし、再不斬はご立腹だ。
 「よかったな。俺の体が麻痺していて。殺したくても殺せねぇぜ。お前をな。クク」
・・・怒ってるよ。
本当のことなのに。



 「話は終わったんだよな。帰れ」
 「んー、少しだけ付け足すと私もそれなりに強いよ」
 「・・・白」
再不斬がそう白に声をかけた瞬間、白は私に向かって千本を放った。
私はそれをよける。
当たらなかった千本は虚しく空を切り、壁へと突き刺さっている。

 「もう当たらないよ」
白はよく千本を使う。
このように狭い場所では大術は使えない。
 「お前は何故そこまでして俺達にかまう?」
再不斬は私に問いた。

微妙な質問。
この返答次第で運命が変わるかもしれない。
私は慎重に答えを探し始めた。

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