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黒白ノ風
63 新眼
 「はーい、サチ!起きようね!!」
突然耳元での大きな声。
声は頭の中でキーンといつまでも響いている。

・・・あぁ、誰かが起こしにきたのか。
私はまだぼーっとする頭で考え、答えを出す。
 「…あと5時間」
 「んー、駄目だよv修行始めるから」
この口調、声はカカシ先生だ。

 「えー、眠い」
 「・・・修行できたら寝ていいよ」
私がただでは起きないと思ったのだろう。

 「マジで!!」
私はそんなことを言われるとは思ってもいなかったので驚きつつ、バネの如く起き上がった。
先程と同じで辺りには木漏れ日がやわらかく差していた。

 「何何!?何すんの!!?」
何を連呼し、せかした。
こちらとて、早く寝たいからだ。

水面歩行の業を数時間。それに白との戦闘。何気に疲れたのだ。
夜にある暗部の任務のために体力をためておかなければ、もし何かあったら困る。

 「ん、木登り」
 「え、そんだけ?」
「・・・」
私は拍子抜けした声で問う。

 「…え、うん」
・・・そんだけって君ね。
カカシ先生は自分の頭に手をあてながら答えた。



 「じゃ、行きまーす」
ベェェン
私は足の裏へとチャクラをためた。
木登りは最初にやった修行だ。
初めのころは木に正面衝突したっけ。
私はそんなことを思いながら歩きだした。

木に足をかけ、すいすいと登ってゆく。
てっぺん付近まで登るとカカシ先生が小さく見えた。
今度はターンして下へと下りはじめる。
そして地面へと降りて、真っ直ぐに立つ。



 「おっけ?」
カカシ先生に2つの意味を込めて問う。
1つは木登りはこれでいいかということ。
1つは寝てもいいかということ。

 「…いいよ」
先程あんな約束をしたことに後悔しているであろうカカシ先生。
ため息をつき、諦めたような口調で言った。
 「あ、そうだ」
今、木を登ったことによって少しばかり目が冴えた私。
カカシ先生の顔を見て即座に言いたいと思ったことを言う。
 「新眼、カッコいいですね」
・・・と。

新眼とは無防備に寝ているカカシ先生の瞼に書いた目のことである。
矢印を引っ張って新眼という名前(?)をつけた。
 「ハハ、ソウダネ」
これを書いた犯人が未だに分かっていないカカシ先生。苦笑いをしている。

 「いやー、説明書きも加えておけばよかったかなー?・・・まぁいいか。んでは、私はこれにて」
カカシ先生は何かいいたげだったが、眠かったので再び草のベッドへと戻った。

 「目、書いたのサチか…」
寝転がりながら呟きが聞こえた方に目を向ける。

そこにはマジックで書かれた目に手を置くカカシ先生がいた。
これまでに私にされたことを思い出しているのだろう。



少ししてあきらめがついたのだろうか。
修行が済んでいないナルト、サスケ、サクラのもとへと戻ったのだった。

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