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黒白ノ風
601 杞憂
誰もいない、ということは
…病室が移動になったのか。
それとも…

 「結界…」
嫌な考えを振り払うように私は自らに乳白色の結界を施し、何もない病室を後にした。




この乳白色の結界を張るとその中にいる者が外からは認識出来なくなる。
足音と気配を消し、病院の廊下を駆けた。

次に私が向かう場所は病院の受付だ。






受付のお姉さんを素通りし、受付の中へと侵入した。
木の葉病院には申し訳ないが、院内の人を把握するにはこの方法が一番手っ取り早い。

私の求めていたものは無警戒にも壁に貼り付けてあった。
病院に入院している人が記されている表に目を通した。


・・・月光ハヤテ…月光ハヤテ…
文字を指先で追い、一致する名前を探る。





・・・…







しかし、
ここにも何もなかった。







私は結界を張ったまま重い足を動かして病院の扉から外へと出た。
そして小道へと入り込み、結界を解く。
 「・・・」








ただ何と無く、壁にもたれた。
じっとしていると様々な考えが浮かんでくる。


・・・先ほど見た名簿だが、ハヤテさんの名前がない…ということは退院したか、それ以外かだ。

前者であると頭に言い聞かせながら後者については何も考えないようにした。



・・・ナルトに聞くか…?

可能性としては退院か、亡くなってしまったか、どちらもありうる。
聞かない方がいいかもしれない。

 「・・・」



でも、ぼーっとしていても何も変わらない。
 「よっ…と」
腕に力を入れ、反動で壁から離れた。









小道を抜けようとした時だった。
 「ちょっとそこの抜け忍さん」
 「…!」
上から声をかけれられ、咄嗟に見上げた。



 「病院なんかに何の用?」

太陽の眩しさに目を細めながら、木の葉病院の隣にある建物の上にいる人物を確認した。
その人は、カカシ先生だった。


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