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黒白ノ風
598 白玉
 「…ふふふ」
しかも、白に関してはあんなことがあったというのに面白そうに笑を堪えていた。

 「笑い事じゃないですわ」
 「…サチさん面白すぎですよ・・・それより、もう甘味が来ましたよ」



 「おぉ!いつの間に…」
前に目をやるとしらたまDXと思われる甘味が人数分置いてあった。








 「美味しそうですわ…」
少し深めの黒いお皿に盛り付けられた5つの白玉に、オレンジを帯びたべっこう色の液体がかけられている。
蜂蜜のような香りをまとったしらたまDXに少しばかり惚けていた。



 「では、いただきますわ!」
そう宣言してから木製のスプーンに手をかけ、一つの白玉をすくった。
べっこう色の液体を絡めて口へと運んだ。



 「…!」
やばい、おいしい…
シンプルな見た目とは裏腹に計算し尽くされた甘み、白玉の歯ごたえ。

完璧だ…これは95点以上。





 「ふぉぉ…おいしい…」
思わず口元が緩む。
 「木ノ葉の里は甘味もおいしいんですね」
 「オレってばあんまりこういうの食べないけど、うまいんだな…」

 「甘味処みたらしは世界一ですわ!・・・すみませーん、しらたまDXください!」
 「かしこまりました」



 「早いですね」
そう言う白の皿にはまだ4つの白玉が残っている。
 「気づいたらなくなっていましたわ」
 「サチさんらしいですね」
またふふふと笑ってから白はしらたまを口に運んだ。




 「お待たせいたしました。しらたまDXでごさいます!」
 「待ってましたわ!」






 「…んん、いくつ食べても飽きない…究極な甘味の調合率ですわ…」

…もし、イタ兄がいたら”甘味の革命だ!”とか言いそうだなぁ…

・・・いや、イタ兄はもういないんだし…



 「すみませーん、しらたまDXください」
 「かしこまりました」



またイタ兄と一緒に甘味処巡りしたかったな…



 「お待たせいたしました!しらたまDXでございます」




…そんなこと思っても何にもならないか。



 「すみません、しらたまDXください」
 「かしこまりました」



そうだ、そういえばアスマ先生はもう大丈夫なのだろうか…



 「しらたまDXでございます」
 「ありがとうございます」


白玉を口に運びながらチラリとアスマ先生を見た。
アスマ先生は第10班のメンバーと笑いながら木綿豆腐を食べていた。

…元気そうだ。


 「すみませんしらたまDXください」
 「かしこまりました!・・・どうぞ、しらたまDXでございます」



お茶で一息ついてから白玉をまた口に運ぶ。
またアスマ先生に目線を移した。
しかし、シカマルと目が合ってしまった。
私は気まずそうに目をそらす。



 「すみません」
 「かしこまりました。しらたまDXでございます」



・・・シカマルはホントに勘がいいな…
もしかしたら私が水野サチだってこと気付いてるんじゃないのか…

そういえばIQ200だとかなんとか…
うわ私勝ち目ないわ…



 「しらたまDXでございます」
 「ありがとうございます」



 「サチさん、凄い勢いで食べてますけど大丈夫ですか?」
様子を伺いながら話しかけてきたのは白だ。
白のお皿にはまだしらたまが2つ残っていた。
 「ん?あぁ、いつもこんな感じだよ」

 「そうですか…」



 「しらたまDXでございます」
 「お、ありがとうございます」



 「店員さんと完全に連携してますね」
 「・・・?」
 「注文もなしにしらたまDX運ばれてきてるじゃないですか」
 「あ、確かにそうなってる…!」



 「しらたまDXでございます」
 「ありがとうございます」



 「一度食べるとなかなか止まらないんだよね・・・考え事とかも捗るし」
 「そういやサチは落ち込んだらとりあえず甘味処みたらしだもんな。毎回食べ過ぎだってばよ」



 「…しらたまDXでございます」
 「ありがとうございます。んじゃ次はシメでお願いします」



 「・・・お前さ、」
 (変化ばれないようにする気ないだろ)
 「・・・?」
 (何でさ?)



 「お待たせいたしました。白玉黒蜜クリームパフェでございます」



 「・・・」
 (ほらな。サチの大好物じゃねぇか)
 「…・・・」
 (いやいやそんなバカな)
変化してるし、さすがに正体がバレることなんてないでしょ。



少し呆然としながら白玉黒蜜を口に運ぶ。

味はいつもと変わらない。
白玉黒蜜クリームパフェそのものだ。
とてもおいしい。








 「…最近ーサチちゃんみたいな食べ方流行ってるよねー」

ここで店員さんの会話が耳に入ってきた。


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あきゅろす。
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