黒白ノ風
597 分析
「あはは…あー、シカマル!…サチは忍ってやつをあまり知らないんだってばよ」
「・・・いきなりごめんなさい。退院とか聞いたもので…忍の方は大変なんですねぇ」
「サチだと…!?」
「あ、あーサチ!そう、サチ子って言うんだコイツ。まぎらわしいよなー」
「うふふ、シカマルさんよろしくお願いしますね」
(ナルト、焦りすぎだよ)
(サチが変なこと口走るからだろうが!…しかもよりによってシカマルかよ…)
「オイ、アンタ水の国のどこ出身だ?」
「霧隠れの里の近くの出身ですのよ。お家の都合で、あまり詳しくは言えないのですが…」
「へぇ…」
(おいシカマル分析モード入ってんぞ)
(・・・)
(ヘタなこと言うなよ)
(…分かってるよ)
水の国…ええと、霧隠れの里があって…
あ、そういえば少し前に白と霧隠れの高級旅館泊まったな・・・
これは使えるかもしれない。
名前は…
海老の天ぷらがおいしくて…
紅葉がきれい・・・
杜若だ!
「ええと…そうですね…霧隠れも木ノ葉と同じでいいところですわ。私、杜若という旅館に勤めているのですがご存知でしょうか?」
「・・・あぁ、名前は聞いたことあるな…高級旅館だろ」
「えぇ、その通りですわ!よかったら今度いらして下さいね」
これでもかというくらいの満面の笑みでシカマルに語りかける。
この無邪気な笑みで少しは誤解も解けるはずだ。
「…ああ」
「・・・」
「・・・」
しばらくの沈黙が訪れる。
未だに鋭い眼光を放つシカマルに思わず生唾をのんだ。
「…悪りぃ、昔のダチに似てたもんでな…少し詮索しすぎたぜ・・・じゃあまたな、ナルト」
「オウ!」
シカマルはきびすを返し、アスマ先生たちがいる少し離れた席へと向かった。
「・・・はは、は早くみたらしDXこないかしらね」
(あああ…ばれるかと思った…)
先ほどよりも震えている手でお茶を掴み、少しすすってからカタカタと音を立てて机上に戻した。
私の口調については、いきなり変えるとシカマルに怪しまれるのでそのままである。
「そ、そうだってばね」
(サチ、最後の笑顔引きつってたぞ)
(サチさん…あんな邪悪な笑みを見たのは初めてですよ)
(…うん。)
あんなに頑張ったというのに2人からは酷い言われようだ。
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