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黒白ノ風
596 迂闊
しかし、店員さんがしらたまDXを運んでくる様子はない。
 「…?ナルトなに言ってん…」
ぬか喜びする原因になったナルトを咎めようとした時だった。


 「先生退院おめでとー!」
 「まてまて、まだ病み上がりだ」

 「・・・!」
外から聞き覚えのある声が耳に入ってきた。
私は思わず聞き耳をたてた。



 「じゃあ焼肉Qに…」
 「チョウジ!アンタ先生を殺す気か…!」
 「…えー」
 「ハァ、めんどくせ」

 「ここは間をとって甘味処にしましょ」
 「いの、何の間だよ…」
 「甘味処っていってもザクザクでデロデロの甘ったるいやつから、やわらかで甘さ控えめのヘルシーなやつまで取り扱ってるのよ。先生にぴったりじゃない!」
 「何だか老人のように扱われるのもな…」



この声、チャクラは…

その声たちはしだいに私たちのいる甘味処みたらしに近づいてくる。




震える手でお茶を飲みながら店の入り口を横目で見る。
開放された入り口に4つの影が見えたかと思えばその影はのれんをくぐって店内に入ってきた。
 「いらっしゃいませー」

 「賑わってんな…」
 「あっあそこ!ちょうど空いてるよ」
 「んじゃあそこにすっか」
4人は入り口から少し遠い窓際の席を見つけると、その席向って歩き出した。


当然その手前に座っている私たちの存在に誰かしら気づくはずである。
 「おっナルトじゃねぇか」
一番後ろを歩いていたシカマルが気付いたようだ。

 「よぉシカマル!アスマ先生元気そうだってばね」
 「まぁな。おととい退院したんだ」
 「そっか」




 「・・・」
そんなシカマルとナルトの会話よりも、
私は目が離せなくなったいた。
何かに取り憑かれたかのようにただアスマ先生を目で追っていた。



そんな私を見兼ねたシカマルがナルトに対して質問を投げた。
 「・・・えー…っと、お前が複数の女といるなんて珍しいじゃねぇか…?」

 「あぁ、任務の時に水の国で知り合ったんだ。木ノ葉の里を案内してたとこだってばよ!」

 (とりあえずサチと白は水の国出身な。・・・あと、アスマ先生はお前が持ってきた巻物のおかげで意識を取り戻した)




 「・・・」
里抜けする時、綱手お姉サマに柏の医療忍術に関する巻物を渡していたのだが、それが効いたのかな…?

里の医療忍術への貢献…
ナルトの言っていた木ノ葉の里が抜け忍に認定しない理由のひとつでもあるのか…

…とにかく、よかった。





 「・・・意識…戻ったんだ…」
 「…は?」
ぽつりと呟いた私にシカマルが反応した。




 「・・・!」
 (サチ!声漏れてる!!)
 「!」
 (あ…ごめん!)
ナルトの会話術で我に返った。

ひとまずアスマ先生から目を離し、おそるおそるシカマルの方へと向いた。
案の定、疑いを持った刺すような視線を私に向けるシカマルがいた。

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