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黒白ノ風
593 誘惑
 「あ、そだナルト、この人は…」
 「白だろ?」
 「…当たり!」



 「…ナルトくん、久しぶりですね」
 「そうだな。」



 「んじゃナルト、またね・・・白、行こう」
一刻も早くこの場から立ち去りたかった私はナルトの返答を待つこともなく歩を進めた。


しかし、肝心の白がその場にとどまったままだった。
一体どうしたのだろうか。
 「…サチさん、せっかく木ノ葉の里まできたんですからイタチさんも絶賛していた甘味処みたらしに行きませんか?」

 「いや…今日は」

 「今日こそですよ。みたらしDXパフェ、白玉黒蜜クリームパフェに次ぐ新作…!・・・白玉DXが今日から発売なんですって」

 「いやでもさ…」
うおお…なんじゃそりゃ…
行きたいいい…!



 「サチさん…」
白はまるではりついたような腹黒い笑みを浮かべながら、私の肩に手をかけた。

 「しらたまDX…白玉に、ありとあらゆる甘味を合わせた最上級の甘味らしいです…」
そして耳元でそうささやかれた。

 「…」

私の様子を伺いながら甘い言葉を紡ぐ白は悪魔という言葉がしっくりくる。
明かに動揺している私を見て味をしめたのか、更に言葉を続けた。

 「一見するとただのお団子らしいのですが、蜂蜜、黒蜜、それから火の国にはないような甘味料、果てはスパイスの数々…それを甘味処みたらしの店長が3年かけて作り出した究極の味らしいですよ・・・」

 「…ぬ・・・」



 「サチさんが行かないのならボク一人で食べてきますね」

 「う、うん…」

 「白、お前だけじゃ木ノ葉の里わからねぇだろ?俺が案内してやるよ」
 「本当ですか!」
 「あぁ、ただ里内では表の俺になるからな」

 「…だってばよ口調のアレですか」
 「あぁ」

 「別にかまいませんよ。じゃあサチさん、悪いですけどどこかで油売っててくださいね」



 「・・・」
ナルトと白の話がどんどん進む中、私は激しく葛藤していた。

いや、ちょっと…
何でナルトそんなに白と友好的なの…
しかも裏のナルトが…
腹黒い同士だからこそ仲良くなれるのか…

くそぅ、女の私でさえも綺麗だと思う白の美貌にナルトもやられたか…!

このままだと、しらたまDXを食べる白とナルトを想像しながら指をくわえて待ってることになるのか…
おお、なんという苦行…!


自分でも訳の分からないことを思いながらただひたすらに頭をかかえた。

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