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黒白ノ風
592 合流
質問を投げた私に対して、ナルトは少しだけ辺りを見回すとはにかみながら口を開いた。
 「そろそろ木ノ葉の里だしな…」
 「・・・」
これは、木ノ葉の里に行ってナルトの言う何かを見ろということなのだろうか。

先ほど、事実上ではあるが私が抜け忍でないということが分かった。
だとしても過去に私のしたことを水に流してのこのこと里に帰れるほど私の頭はお花畑ではない。

それに、まだ柏一族のことも未解決だ。

…帰れはしない。








意図的にナルトとの距離が数十メートルになるまでスピードを落とした。
 「そっか。・・・じゃあ、またね」
同時にナルトにも聞こえるような声で言う。

 「またね…って・・・オイ、サチほんと鈍いよな。俺は今帰ってきても大丈夫だって言ってんだぞ」

ダン
音を立て、木に足をかけたかと思えばナルトは反動を利用して私の前に降り立った。

対して私は反射的にその場に立ち止まる。
その時に不意に合ってしまった蒼い瞳から逃げるように目をそらした。




 「それは分かってる。私は暁を選んだ」
 「もうお前暁じゃねぇだろ」

暁は抜けた。
というより強制退会させられた。
だけど、
 「それでも、・・・あの時私は木ノ葉の里を選ばなかった」
本当はどちらも選びたかった。

あの時分かった。
双方とも持っているのは無理だって。




まっすぐナルトを見つめ、事実だけを吐き捨てた。


次第にナルトの目線が地面に向かう。
 「・・・そうかよ…」
 「ごめん」






 「じゃ。」
この場から離れる為にテキトーな方向へと向き、加速しようとした時だった。

ひやりとした空気が頬をなでた。
 「サチさん」
 「おぉ…」
僅かな冷気を纏い、白が姿を現したのだ。

白のチャクラが近いと思ったらこんな近くにいたのか。
きっと私とナルトの様子を伺いながら出るタイミングをはかっていたのだろう。


 「おぉ、じゃないですよ…木ノ葉の里周辺で置いてけぼりになったボクの身にもなって下さいよ」
 「ごめんごめん」
言われて思い出した。
私はペインを止めに行ったきり白のことを放置していたのだった。


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