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黒白ノ風
588 矢先
バササッ
 「!」
 「!!」

いきなりだった。

なにか薄っぺらいものが飛ばされるような音がして、上の方から日の光がさしこんだ。
先程まで薄暗かったのが嘘だったかのように洞窟内に光が満ちた。

…あまりのまぶしさに目が眩む。
思わず立ち上がり、身構えてから薄目で原因となった場所を見上げた。


まばゆい光と、
上から降ってきている白い紙。




・・・そうか、思い出した。
この洞窟と思っていた場所は小南によって造られた紙の洞窟だった…

 「小南の術が解けたんだな」
ナルトも察したようだ。







木を模してドーム状になっていた紙の洞窟はすっかりと紙に変わり、空を舞っていった。




 「とりあえず移動しようか」
 「そうだな。」

ただ何もない森の中にぽつんと残された私たちは移動を始めた。












とりあえずナルトの後について森を進み、木々を伝う。

 「さっきの話…」
 「ん?」

不意にナルトが口を開いた。



 「…やっぱりなんでもねぇ…」
 「・・・え、すんごい気になるんだけど」



 「また今度な」
 「・・・うん」


とても重要なことのような気がする…
本当は長門さんの話より、二つ目の話の方がナルトにとって重要なことではないのかと感じた。


しかし、この雰囲気からすると今日のところは話してくれないだろう。










それからも、よく知った木ノ葉の里周辺の森を軽快に進む。

ナルトとこんなゆったりした時間を過ごすのはホント久々だなー。

そんなことを考えながら木々を飛び移る度にナルトの金色の髪がはねるのを少し後ろからボーッと見ていた。






 「今更聞くのもなんだけどよ、サチは何で木ノ葉の里を抜けたんだ?」

 「え、それ今聞いちゃう?」
 「俺だって気になるんだよ…いきなり里抜けやがって…!」



里抜けの理由か…
こんな率直に聞かれたのは始めてかもしれない。


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