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黒白ノ風
55 冗談
私達の目の前には拘束された鬼兄弟。
木にくくりつけられながらもカカシを睨み上げている。
 「何故我々の動きをみきれた」
そいつらは自分達の敗因を突き止めるべく言う。

 「えー、雨降ってないのに水たまりなんて出来るはずないっしょ」
と、私。
・・・コイツ、クナイと手裏剣落としたのわざとかァ!!
と思っているであろう鬼兄弟達。

 「先生さんよ、何でガキにやらせた?」
タズナのオッサンが言う。
 「敵のターゲットがだれであるかね。先程の戦闘ではっきりしました。我々はアナタが忍に狙われているという話は聞いていません。これだとBランク以上の任務だ。依頼でウソをつかれると困ります」
カカシが続ける途中、タズナの表情がさらに曇った。

 「この任務は私達にはまだ早いわ…やめましょ」
Bランク以上という事実を聞いたサクラがおずおずと言った。先程のような戦闘が続く状況が耐えられないといった様子だ。
それもそうだ。まだサクラは12、3歳の女の子。私がいた日本なんて世界ではその年だったら制服着て楽しい楽しい中学校へと登校している年頃だ。



 「・・・んー、一応任務は任務だしね」
カカシが首をひねっているとタズナが言った。
 「先生さんよ、ちょっと話したいことがある」
話の内容は大富豪のガトーに命を狙われているというものだった。ガトーとは表は海運会社として活動しているが、その裏で悪どい商売をしているサングラスをかけた小さいちょびヒゲのはえたオジサンらしい。
最後らへんは私の覚えているガトーの特徴だ。



 「まぁ、お前らがこの任務を止めればワシは確実に殺されるじゃろう・・・が、なーにお前らが気にすることはない。ワシが死んでも10歳になるかわいい孫が一日中泣くだけじゃ!あっそれに、ワシの娘も木の葉の忍者を一生恨んで寂しく生きていくだけじゃ!いやなにお前達のせいじゃない!!」
…どうやらタズナのオッサンは同情作戦に出たようだ。

しかし私はその言葉を真に受けてみることにした。
 「あぁ、そうですか。じゃカカシ先生帰ろー。では、タズナさんご達者でー」



私達はくるっと方向転換をし、今まで来た道を歩いた。

…カカシ先生達、ノリいいな。

タズナさんも冗談だと思ってずっと私達のところをみていたのだが、私達はタズナのオッサンからしだいに遠ざかっていった。
やがてタズナのオッサンから私達は見えなくなった。
先ほどまで戦闘があった道には一人の老人がただただ静かに立っているのだった。

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