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黒白ノ風
54 過剰
鬼兄弟は細切れになった肉片をよそによほど自信があったのかカカシ先生から一番遠いナルトに狙いを定めた。
これを自信過剰といいます。テストにでるぞー。



そんなこんなでナルトへと狙いを定めた鬼兄弟はカカシ先生の時と同じように血のしたたる鎖をナルトにも巻きつけようとした。
その時、いち早く動いたのはサスケだった。

勢いよく飛び上がり手裏剣ホルダーに手をかけ、一枚の手裏剣とクナイを一つ取り出した。
狙いを定め、手裏剣をまず投げた。
それは空中に投げ出された不規則的な鎖を木に射止めた。

お次はクナイ。サスケが投げたクナイは手裏剣の中心にぽっかりと空いた穴へと吸い込まれるようにして木に突き刺さった。

…すごい。戦闘中にクナイと手裏剣を放ってここまで当たるとは、百発百中なのではないか。
これで木に射止められたあの鎖は外れない。この戦闘では使い物にならないだろう。

サスケは動きが鈍くなった鬼兄弟のご自慢の鎖のついた武器に乗る。
次の瞬間、鬼兄弟に蹴りを一発ずつかました。

 「グッ」
思わぬ攻撃。ナントカ兄弟はサスケを睨んだ。が、相手をしていたららちがあかないとでも思ったのか鎖を外し、方向転換をしてそれぞれに散らばった。
一人はナルトへ。もう一人はタズナのオッサンのもとへ。



 「いらっしゃーい」
私はそう言う。すると
ドォンッ
という大きな衝撃音が辺りにこだました。
ナルトの方向へ来たやつは地雷式の火爆術に見事に引っかかった。

私もただぼけーっとサスケの行動を見ていたわけではない。サスケに蹴られ、散らばったナントカ兄弟1の行く先はだいたい想像がつく。
そいつが来るであろう場所に地雷をセットしておいたのだ。



 「グォォ」
地雷を踏んだナントカ兄弟1は煙を身にまとい、地面へと倒れこんだ。

「・・・」
足止めのつもりだったのだが、今度は威力強すぎたかもしれない。
木の葉の里を出発した直後に投げた火爆術は音を抑えるために威力が弱かった。なので今度はほどほどにしたつもりなのだけど。



まぁとりあえずナルトが怪我をしなくてよ・・・くない。
…ナルトが、ナルトが・・・!
爆発の衝撃をくらってふっ飛んでしまったのか、少し先にある茂みからナルトの足が二本出ていた。
 (サチ…)
あまりの突然の出来事にナルトから会話術が飛んできた。たいへん怒っておられる。

 「うぉお」
 (・・・すいませんでした)
私はその場で謝罪するしかなかった。



 「おじさんさがってェ!」
サクラの声が響いた。
 「!」
鬼兄弟2は直接タズナを狙いにいったようだ。
タズナをかばい、サクラは危険な場所へと躍り出た。
慣れない手つきでクナイを構えている。



私は地面を蹴り、下忍時の自分が出せる精一杯のスピードを出した。
一応やっかいごとにならないように私もナルトのように演技をする。
間に合うだろうと思いながら。

 「このやろっ!」
私はがむしゃらに手を伸ばし、鬼兄弟2のマントの端を掴んだ。
 「グォォウ」
ガクンと後ろへ引っ張られた鬼兄弟2はバナナの皮でも踏んだかのように砂煙を巻き上げ、倒れ込んだ。

何とか間に合ったようだ。
安堵の息をもらす私。
しかし、まだ鬼兄弟2は立ち上がる。私の一歩後ろへと飛びのき、加速を始めた。



 「グォ!!」
ここでやっとこ登場したのがカカシ先生。敵の加速に合わせるようにカウンター攻撃放った。

こうしてやっと鬼兄弟たちは静かになったのだった。
まぁほとんど鎖の音と『グォ』しか言っていないのだが…



 「うわぁ、カカシ先生のお化けだー。悪霊退散!」
 「ちょ…サチ、悪霊って!?」
 「うわぁ、しゃべった!呪われるゥ!!」

 「・・・ま!とりあえずサスケ、サチよくやった。サクラもな」
カカシ先生は悪霊扱いする私を無視し、言った。
 「…ナルトのやつ、助けてやってちょーだい」
カカシ先生はナルトのいる方向を見やる。
 「あ」
私の放った術の爆風で茂みに突っ込んでいたのを忘れていた。
この後、ナルトは無事に救出されたのだった。

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