黒白ノ風
554 比較
「はぁ…私はキミのためなら死ねるよv」
サクサクの衣の中に身がひきしまったプリプリの海老が隠れている天ぷらを箸で掴みながら恍惚した表情で一言。
「なら殺してさしあげましょうか?」
そう聞こえた先には冷ややかな笑顔の白。
「・・・遠慮しておきマス」
日に日に黒くなってゆく白の発言に悪寒を覚えつつ、私は掴んだ天ぷらを口に運んだ。
部屋に戻った私達は温泉にいる間に用意されていた夕食を早速食べているところである。
そのメニュー、まずは天ぷら。
皿の上に贅沢に盛られたさつまいも、なす、イカ、海老。
それらは表面に狐色の衣をまとっている。
その隣にある刺身も天ぷらに負けず劣らずで、マグロ、サーモン、サバ、タコ、そして甘海老が頭ごと乗っかっている。
手前に煮物と、おこげがいい具合についた醤油風味の松茸ご飯。
その反対側には魚介のうまみがたっぷり詰まったアサリのみそ汁。
そして端っこに漬物である。
もはやおいしすぎて感激している。
あまり例えがよくないが、ヤマト隊長に連れていって貰った旅館と比べてしまうとその差は歴然だった。
[←][→]
[戻る]
無料HPエムペ!