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黒白ノ風
553 念押
 「・・・」






 「さて、ボクはもう上がるとしましょう。サチさんもあまり長居はしませんように…“男湯”に」

 「…ん。」
そうだった…男湯に間違えて入ってたんだった。


脱衣所に向かう白の背中を目で追った。

その白はどことなくおぼつかない足取りだ。


・・・なんか白フラフラしてるような…
というか、体がほてりすぎではないか…?
まるで茹でたタコのように赤い背中を目で追う。



・・・そういえば、私が目を覚ました時には白はもう入浴後だった。
なぜもう一度温泉に入る必要性があったのだろうか…?



 「・・・」
…答えは簡単だ。
私が間違えて男湯に入ったからだ。

今の白の強さなら私のチャクラの感知も簡単だろう。



きっとめんどくさいと思いつつもああして温泉へとやってきたのだと思う。
そうしたら私が泣いていた…と。

白は私の涙の理由を分かっていただろう。
そうして励ましの言葉をかけた。
つらいのは白も同じなのに…

 「らしくない・・・か…」
ひとりごちながら風景を眺めた。

風で落ち葉が舞い上がり、私のいる温泉の水面に落ちてきた。
水を浴びた葉は太陽の光を集めてきらきらしている。


 「・・・」
…そうだ。



進まなきゃ。


ばしゃ
お湯をすくい上げ、顔にかけた。

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あきゅろす。
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