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黒白ノ風
53 水溜
鬼兄弟を爆破し、その後何もなかったかのように平然と歩いた私。



少し歩いたころ、この微妙ないたたまれない空気をどうにかしようとサクラがタズナに話しかけた。
 「ねぇ、タズナさん」
 「何だ?」
可愛らしい少女が話しかけているというのにぶっきらぼうな態度のタズナ。

 「タズナさんの国って波の国でしょ」
それにもめげずに続けた。
 「それがどうした」
またもやぶっきらぼうかつそっけない態度。
会話一応成立してるようなしていないような…
このオッサン会話する気が微塵にも感じられない。むしろ早め早めに終わらせようとしている。



 「カカシ先生、その国にも忍者っているの?」
オッサンに会話の要求は通用しないと思ったのか今度はカカシにふった。
 「いや、波の国にはいないが、たいていの他の国には隠れ里が存在し忍者がいる」
カカシはそう言うと忍び五大国のあらましを語り、その五大国の頂点に君臨する火影だのの話をし始めた。



この話を聞いている限り、ほかじいは思っているより偉大な3代目火影をやっているらしい。
こちらの世界に来てから一番最初に会った人物だし真白繋がりで色々と良くしてくれたので個人的にも感謝はしている。
こんな話を聞いているとくすぐったいような気持ちにもなる。




 「ま!Cランクで忍者対決なんてしやしないよ」
カカシはサクラの頭に手をポン、と置き言った。
 「じゃあ外国の忍者と接触する心配は無いんだァ…」
 「もちろんだよアハハハ!」
サクラとカカシの笑い話。
それを聞くタズナの表情が曇る。
それを唯一見ていたのはサスケと横目でだがカカシのみ。



私は目の前にある水たまりを凝視していた。
…これ、さっきの鬼兄弟だよね?
さっき爆破されたにもかかわらずそこにいる。爆発の威力を小さくしすぎたのかもしれない。

私は内心舌打ちをし、普通に皆と一緒に水たまりを通過しようとする。
 「あっ、やべ」
通過しようとしたのだが、このまま何もしないのもつまらなので試しに手裏剣ホルダーを真っ逆さまにしてクナイ、手裏剣を数個落下させてみた。

 「ウゴッ」
水たまりがしゃべった。
クナイ、手裏剣を水たまりに向かって落としたつもりなのに、危険を察知した水たまりはいつの間にか移動していた。
 「サチー、ポーチちゃんと付けておきなよ」
 「・・・はーい」
カカシ先生からのお言葉を右から左へと軽く流し、落下したクナイ、手裏剣を拾った。

全部拾い終わったころ
 「あっ、いっけね」
今度は本当に手がすべった。
私の手からするりと抜けた手裏剣は下にあった水たまりに一直線に進んだ。
 「うごっ」
またもや水たまりがしゃべった。
それと同時に目にも止まらぬ速さで手裏剣をよけた。お見事。

 「サチー、何やってんのー?行っちゃうヨー?」
もたもたしている私にカカシ先生が言う。
 「ちょ待ってー」
私は急いで落下した最後の手裏剣を回収し、
カカシ先生たちのもとへと戻った。
 「すんませーん」
ばつがわるいような顔をしながらとりあえず謝っておく。
水たまりに関してはわざと一言も言わなかった。



そんな私の様子を見てカカシは少しずつ後方へ下がり始めた。
その様子を観察していた鬼兄弟は気付かれていないとでも思ったのか、なんと水たまりから出てきた。
1人が大きく飛び上がり、一番後方にいたカカシに鋭利な鎖を巻きつけた。
鎖の端と端は鬼兄弟がそれぞれ持ち、カカシ先生がその中心にいる状態だ。

 「なに!?」
 「一匹目」
静かにそう言い巻きつけた鎖を双方で引っ張った。
するとぼとぼととカカシ先生が散らばった。

カカシ先生はサバイバル演習の時のイチャパラ(中巻)の如く細切れになったのだった。

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あきゅろす。
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