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黒白ノ風
549 衝撃
 「・・・!」
不意に脱衣所と露天風呂を繋ぐ扉が開く音がした。

私は慌てて両手でお湯をすくい、顔にかけた。
 「はぁ〜…」
表面上はまったりとした風に呟いた。




この場所には湯気がこれでもかというばかりに漂っている。


その湯気をくぐり抜けて入ってきたのは艶の入った、流れるような黒髪を持った綺麗な人だった。
その人は入ってくるなり艶髪を一つに束ね、上の方でまとめた。

そして私と同じように体を流してからお湯に浸かった。


 「・・・」
 「・・・」
風呂での世間話はこれといってない。
私は感情を抑えながら景色を眺めた。

哀愁の落ち葉がひらひらと舞っていた。



 「綺麗ですね」
しばらくぼーっとしていたら後ろから声が聞こえた。

 「…。そうですね」
少し咳ばらいをしてからその人の方を向いて返答。




 「すいません、一つ聞いていいですか?」
 「…なんですか」
なんだろう?
私何かしたかな?


 「なぜサチさんはここにいるのですか?」
 「…・・・まぁ、色々とあって…」
一番聞かれたくない質問だった。

私は目をそらしたまま遠慮気味に返答した。

 「・・・」
 「・・・」
…てか、何でこの人私の名前知ってんだろ・・・?
今更ながら考えてみた。


 「・・・」
・・・。




 「・・・」
 「・・・」
失礼も承知の上でその人の顔をまじまじと見詰めてみた。








 「・・・?」
 「・・・」




 「…は、はは白…?」
そうしてたどり着いた答えは衝撃的なものだった。

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あきゅろす。
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