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黒白ノ風
545 説教
白が出てきたのはいいのだが、その白はとてもスッキリとした表情をしていた。

 「…なんです?」
しばしの間見つめていたら不快そうに問われた。
 「・・・あのさ、ここどこ??」
白の表情はさておき、最大の疑問を投げた。



 「霧隠れの高級名旅館“杜若”ですよ」
 「・・・」
いやいや…
かきつばた?何だソレ。
しかも霧隠れの里・・・しかもしかも高級名旅館て…


 「お金は?」
 「サチさんのポーチを探ったらたくさん出てきました」
 「…ヲイ。」




 「・・・そうです…!そんなことよりサチさん・・・傷口がまた開いていましたよね」

 「…・・・ん。」
怒られるパターンだなこれは。





 「いつからですか」
 「・・・」
優しく微笑みながら白は問いた。
しかし、その笑顔は私にとって恐怖以外のなにものでもない。


 「いつから、ですか?」
 「・・・」
再度ゆっくりとした口調で返答を渋る私を促した。



 「・・・あの…あれ、結界使って走ろうとしたらなんか開いた」
 「へぇ…そうですか。結界は使うな、と、言いましたよねボクは」
 「…はい。」


 「・・・全く…人の命に関してはうざいほど首を突っ込んでくるくせに自分の命となると無関心すぎますよ」

 「・・・はい。」



 「ボクの話をちゃんと聞いていますか?…要は自分が一番大切なんですよ。他人を助けたくても自分が動けなくてはどうしようもないんですからね!」

 「…・・・ハイ。」
身を縮こませながらうなずいた。

白からびしびしと飛んでくる微量の殺気が恐かった。

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