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黒白ノ風
52 酒爺
 「目標との距離は?」
静寂に包まれた森の中で緊張の空気が漂う。
今しがた奴を追い詰めたところだ。

それぞれが無線でカカシ先生へと状況を伝える。
 「5メートル、いつでもいけるってばよ!」
とナルト。
 「俺もいいぜ」
とサスケ
 「私も」
とサクラ。
 「…これ無線いらなくね?」
と私。


 「よし、やれ」
カカシの声と共に木の裏に身を潜めていた3人が奴を捕獲するべく飛び出した。
 「うりゃああ!」
 「ナルトー、そんな大声出したら駄目だよ」
捕まえられるのは知っていたので私だけ木の裏から歩いて登場した。
 「つっかまえたーっ!」
苦戦した末、ナルトは奴を捕獲することに成功した。
ナルトの腕の中に収まっているのは、迷子の猫だ。
飼い主の下から逃げた猫らしい。
私たちは任務として猫の捕獲を行なっている。



・・・と、このようにあれからカカシ率いる第7班は幾度か任務を遂行した。ほとんどがDランクだが。

今しがた、迷子猫捜索の任務をした。
迷子猫といってもただ飼い主のことが嫌で逃げ出した猫の捜索だった。以前にも何度か逃げているらしい。



その後、任務がしょぼいと理由をつけてナルトがだだこをねはじめた。
しかし、これにも訳がある。
暗部の任務が霧隠れ周辺で数件あるのだ。
そこでオッサンの護衛をしているついでに済ませてきてほしいと火影のじじいから言い渡されたらしい。
護衛対象のオッサンとは、タズナという酒臭い飲んだくれのオッサンである。ちなみに超が口癖らしい。節々に超と言うのでなかなかうざい。



 「出発ー!」
 「ヒャッホーィ!」
私たちは荷支度を済ませ、あんの門に集合したところ。
他国への任務、里を出る時は皆この門から出ていくのが基本だ。
 「何はしゃいじゃってんのアンタら」
とサクラ。
 「だって俺ってば一度も里の外に出たことねぇからよ!」
 「同じくぅー」
もちろん嘘だ。ナルトはもう出るのが嫌になるくらいここから他国などへ任務なり調査なり行ったことだろう。

 「おい本当にこんなガキ共で大丈夫なのかよォ!」
タズナが私達を指差しながら言う。
低ランクの任務だが新米を当てがわれたうえ落ち着きがない様を見せられて少し不服らしい。
 「…はは、上忍の私がついてますので心配いりませんよ」
上忍であり、顔の広いカカシ先生が言うとなんだか説得力がある。



少し歩き始めた頃。

何か違和感がある。
…誰かにみられているような。
そう思った。

いるといってもあんの門にいる人のことではない。
サバイバル演習の時も他人の気配を読み取ることができた。
それは偶然だと思っていたけれど、偶然ではないことが今分かった。

ここから数十m先のに生えた木の上から2つの視線を感じる。
この人数や場合からいくと、最初に襲ってきた霧隠れの…思い出せないがナントカのアレだ。
ガスマスクしていて兄弟で…
額当てから角が生えていたようないないような…
そうだ。鬼兄弟だ。
あそこに潜んでいるのは霧隠れの里の鬼兄弟の2人だ。
確かタズナのオッサンの命を狙っていたような狙っていなかったようなそんな気がする。
曖昧だ。



…そういえば、こいつらのせいでナルトは怪我をしていた気がする。
早めに元凶を断っておくか。
私は手の平で火の性質のチャクラを練り込み、その表面に土の性質のチャクラをまとわせた。
火爆術だ。

 「おっとっと」
私は大げさに転ぶそぶりをすると同時に鬼兄弟がいるであろう木へと爆発物を投げた。

ポンッ
火爆術の球は木に当たった衝撃で爆発した。

木を破壊するまでの威力はないが枝が揺れるのが見えた。
おそらく命中した。
 「…」
 「ん…?」
幸い前へ進んでいるカカシ先生には木が死角になって見えなかったらしい。威力と音をセーブしたし。

よし、任務(?)完了
私は心の中でガッツポーズをしたのであった。

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