黒白ノ風
541 裏察
「最、後…?」
イタ兄最後の、って…
思考停止に陥る私を見やりながら白は言葉を続けた。
「イタチさんは“オレにもしものことがあったらサチを守れ”とボクに言いました」
「・・・」
「今のボクの行動はイタチさんの願いです」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
うつむく私。
それを静かに見る白。
「白は、何でそんな願いを実行してるの…?」
「・・・」
返答は、なかった。
…・・・!
そうか。
医療忍術を使える白には分かるんだ。
イタ兄がどのような健康状態なのか…
避けようもない死がせまっている身近な人の、それも“最後”の願いともあれば白が聞き入れないはずがない。
「・・・」
察してくれましたか?
無言を貫く白からそう聞こえたような気がした。
「でもさ、私はそれを知ってもさ・・・黙ってることなんてできないよ?」
「・・・それも分かっています」
「・・・」
どんなことでもイタ兄の願いを叶えようとしている。
その白の人の為に尽くそうとする心が凄いと思った。
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