黒白ノ風
537 弁解
しかし、
「駄目ですよ」
白が私の前に立ち塞がった。
「・・・…?・・・は!?」
あまりにも予想外の行動だったので、一瞬固まり、驚きの声が勝手に口から出た。
「は、白…!・・・私、戻らなきゃいけないの」
「だから、駄目だと言っているんです」
「あ、理由はさ、イタ兄はたぶんほとんど目が見えてないんだと思う!そんな状態で戦ったら・・・」
「・・・」
必死に弁解する私を白は無表情のまま見据えていた。
「ここでボクとサチさんが引き返したら、イタチさんは何の為にあそこに残ったことになるのでしょうか」
「・・・」
イタチの目がほとんど見えていないということについては何の否定もない。
むしろ、白はそのことを知っているような口ぶりでもあった。
「でも、イタ兄の健康診断に異常はないんじゃなかったの…?」
「・・・」
…なぜそれを知りながら白はイタチを残してきたのだろうか。
白の意思では到底そんなことをするとは思えない。
・・・だったら…
「…イタ兄に頼まれたんでしょ」
「・・・」
白の片眉が僅かながらも動いた。
やはりそうだった。
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