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黒白ノ風
536 気掛
 「・・・」
大丈夫かな…イタ兄…

任せることにはしたものの、気掛かりでならない。

しかし一度深く考えてしまうと今にも進むのを止めて引き返してしまいそうだ。



・・・何か他の事を考えよう…



 「・・・」

 「・・・」

そういえば何か刺された場所が冷たい。
やっとこ思い出した体の触感に意識をやった。

 「・・・うへ…血がべっとり…」
そうして今気付いたのだが、私の衣服にはトビに刺された時の血がこれでもかといった具合に付着していた。

 「医療忍術で服は直りませんからね」
久しぶりにしゃべった私に対し、白が返答する。


 「・・・着替えればいっか」
 「そうですね。まぁもっとも、サチさんの場合着替えても着替えなくても変わらないと思いますが」
 「・・・」
白…それは私が年がら年中汚いとでも言いたいのか・・・


 「…ははは」
白の相変わらずの黒さに感動を覚えつつ、木のを足場にしながら進んだ。




・・・

…“怪我をしたのはどっちだ?”
ふといきなり頭の中でイタチの声が蘇った。

 「・・・」
そういえば、この服に付いた血は先程イタチと会ってから別れるまでもずっと付いてたんだよな…


・・・怪我をしたのは“どっち”だ?
イタチはこの服を見て私の方が怪我をしているということに気付かなかったのだろうか…


 「・・・」






 「・・・!」
いや、違う。

私はその場で立ち止まった。



 「どうかしましたか?」
 「今から戻る!」
血相を変えてすぐさま方向転換した。



イタ兄はきっと…







もう、まともに目がみえていないのだと思う。

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あきゅろす。
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