黒白ノ風
535 念押
「・・・」
イタ兄、病気は…
「心配はいらない。スサノオは使わない。時間をかせげばいいのだろう?」
「…だけど・・・」
困ったように眉を寄せたイタチ。
あやすような口調で言葉を続けた。
「・・・今日の白の健康診断でも異常はなかった」
「白、本当?」
「・・・ええ、本当です」
「お前達がだいぶ離れた場所に行ったらオレも逃げるからな」
「…でもさ、イタ兄…・・・ホントに気をつけてね」
しつこいのも承知でもう一回念を押した。
「当たり前だ。終わったら、また甘処めぐりしような」
返ってきたのは困ったような顔でなく、これ以上ないほどのイタチの笑みだった。
「・・・うん!!」
その表情を見ただけで何だか全てがうまくいくような気がした。
「じゃあ…」
その言葉を最後に私はイタチを残して森を進みはじめた。
ちらりと後ろに目をやったら、白がイタチに深々と頭をさげていた。
「…ありがとうございました」
「あぁ」
そうして白も私の後を続き、地面を踏み込み加速した。
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