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黒白ノ風
532 慌者
 「…?どうかしましたか?」
白は心配そうに声をかけてきた。



 「・・・」
そうだ忘れていた。
ちょっと記憶が曖昧だけど、トビは何か一瞬で移動していたような…


これは、ヤバイ…!

 「・・・ちょ、早く行こ!!…たぶんトビは今すぐにでもここに来る!」


 「・・・」
 「いや、移動してもトビが来るから…」

 「いやいや、やっぱ待った!ここは私の結界で…!!」

 「サチさん落ち着いて下さい」

りんとした白の声が耳元で響いた。




・・・
 「・・・あぁ、うん。」
確かに慌ててもどうにもならない。

どうも予想外のことになると慌てたり、目の前が見えなくなってしまう。
そんな自分を毎度のことと思いながら深呼吸を数回した。



 「…じゃあ結界はるね。」
 「サチさん、もう少し落ち着きましょう」

 「ぇ、何で?」
 「・・・」
白は深いため息をついた。


 「…サチさんには治したばかりの傷がありますよね?結界とか、緻密なチャクラを集中して発動する忍術なんて使ったらどうなると思いますか?・・・馬鹿ですか?あぁ、馬鹿でしたねすいません」




 「・・・うん。」

 「落ち着きました?じゃあ行きましょう」
 「りょーかい。」



 「・・・!」
進み始めてすぐだった。

私は近くに人の気配を察知したのだ。




無言で片手を広げ、白を制した。


 「な…」
ガサッ
続いて白の発言を遮るように緑に色づいた茂みが揺れた。

そこから出てきたのは…

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