黒白ノ風
528 鷹爪
「・・・なんですか?」
やはり白だ。
「ほぅ、これは驚いたな。俺が見た限りお前の戦闘能力は暁の中でも下の方だった」
「勝手にはからないで下さい」
「口も随分達者だな。…能ある鷹は爪を隠すとはよくいったものだ」
「・・・」
白は口をつぐんだ。
その瞳は真っ直ぐに目標物、トビを映し、揺らぎない。
「暁も無法者の中の無法者の集まりになったものだ。集め方が悪かったのか…。ここひとつきで任務を放棄した者、断りなしに抜けた者は何人いたことか…」
「…!!?」
それは、知らなかった。
ここ数日食卓に皆が揃わないと思ったら、そういう訳か。
「おまけにリーダーであるペインすら帰ってこない」
「・・・」
「残るはそこの死に損ないに、白、イタチ、鬼鮫、ゼツ。」
そこの死に損ないとはきっと私のことだろう。
「白、お前は暁に残る気はあるか?」
「さぁ?どうでしょうか」
「残る気はなさそうだな」
「話を聞いているとまるであなたがリーダーだという表現が多々ありますが…」
「そうだ。オレが真のリーダーだ」
「・・・そうですか」
白はさして気にならないといった風に返答した。
「余談が過ぎたな」
「そうですね。あなたはボクに時間を与え過ぎました」
廊下の空間は、冷気で覆い尽くされていた。
氷の鏡は四方八方、上下に張り巡らされた。
「そして油断しすぎですよ」
静かに言ってから、白が動いた。
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