黒白ノ風
522 真偽
「・・・なんてな。少しからかってみただけだ」
無言がもどかしいと思いはじめたころ、イタチは真面目だった表情を笑顔に変えてみせた。
「・・・…リアルすぎて分からなかったよ」
結界とか封印とか…
はっきりいうと、今も真偽が分かっていない私である。
「はは、すまないな」
乾いた笑いをされる。
「・・・」
「さて、そろそろ…」
この空気を一蹴したのはイタチだ。
「帰る?」
それに私も乗る。
「いや、次の店に行こうか」
「奇遇だね。私もそろそろ行きたいと思ってたところv」
「次は俺のお気に入りだ」
「なんてとこ?」
「霧隠れの名店“甘甘”だ。・・・甘処みたらしと違う点は、全ての甘味が洋風なところだ。しかも野菜を使用していてヘルシー。なかなか珍しいだろう?」
「こっちにもそんなお店があったのか…」
洋風のみ…
だったら・・・
「レアチーズケーキは??」
「それはその店のメインスイーツだぞ」
「うはっv早く行こ!!」
「あぁ」
私は嬉しそうにベンチから立ち上がり、ふと思い出したイタチの言葉について思考にふけた。
「・・・」
結界とか、封印とか、私に何を伝えたかったのかな…?
「…?どうした、行くぞ」
しかし、先に進み出したイタチに促され、思考は途切れた。
唯一の心残りを留めたまま私は次の店へと向かったのだった。
犠牲篇 完
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