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黒白ノ風
512 盗聞
割り当てられた部屋の掃除を終え、皆が集うリビングへと行こうとしていた時だった。

 「…〜…・・・…!」
通りかかった部屋の中から何やら緊迫したような話し声が聞こえた。

その部屋のドアの表札にはうちはイタチと記してある。
何となく気になったのでその場で立ち止まり、会話に耳を傾けてみた。
(よい子はマネしないでねv)



 「イタチさんが生きていて本当に良かったです…」

 「・・・」
これは、白の声だ。


 「なんだそんなことか…」
 「そんなことじゃないですよ…!あなたは自分の命を軽視し過ぎです!!」

 「・・・」
 「自分さえ犠牲になればいいと思っているのでしょうけど、それでは本当に大切なものを失って、本当に大切なことも出来ずに終わってしまいますよ」



 「・・・」
変わったな…。

率直にそう思った。
ただ再不斬のためだけに生きていた白。
その再不斬を失った辛さを乗り越えて今を悔いのないように生きている。

そう思い知らされた。




 「・・・」
 「・・・」

 「オレがしたい大切なことか。
・・・それこそ、どうでもいいことだな」

 「な…」
 「そうやって今日まで思っていた」


 「では、今は…?」

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