黒白ノ風
500 矛盾
ズザザッ
サスケはめいいっぱい殴ったのだろう。
イタチはバランスを崩し、受け身をとりながら地面に倒れた。
「・・・」
イタチはすぐに起き上がり、血が出た口元を腕で拭いだ。
「…サスケ。お前は一体何がしたい?・・・兄さんと呼んだかと思えばいきなりオレを殴って…。矛盾だらけじゃないか」
「・・・」
「・・・」
少しの間の後にサスケが口を開いた。
「…オレは今、正直動揺している。・・・オレの中でずっと悪だと思っていたものが急に善に変わって、その対応が出来ないでいる」
「・・・」
「こうして平常心を保ちながら頭の中でイタチという人間について整理していた。任務といえ里の為にうちは一族を滅ぼした。その道程や心境を考えてまず同情した。…そして・・・その後に怒りが込み上げてきた」
「なぜ怒りを?」
「・・・オレだけを…」
「・・・?」
「オレだけを生かしたことについてだ。一思いに殺せばよかったものを…!!」
「・・・」
まだ混乱しているな…
私はサスケの怒りを抑える姿を見てそう思った。
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