黒白ノ風
496 無情
「・・・」
蛇で拘束されたイタ兄。
幻術にかからないように注意しながら様子を確認した。
「・・・!」
イタ兄は…
無表情だ・・・
「・・・」
ただ私とサスケのやり取りを見ていただけのイタ兄は今何を思っているのだろうか。
「・・・」
不意に目が合った。
もし幻術にかかったとしてもサスケが何とかしてくれるだろう…
そう思っていたところ、イタチが私を見据えながら口を開いた。
「・・・やってくれたな…」
喉の奥からやっとしぼりだしたような、何かに耐えるような声。
少々胸が痛んだ。
「・・・うん…やっちゃったよ・・・。でもさ、これでイタ兄はサスケとまともに話ができるでしょ?」
「幻術の中での会話など、純粋なサスケが信じるワケがないだろう」
「え…純粋?・・・あのサスケが?」
「…そうだ。だから話すことなどなにも…」
「・・・いつまでもガキ扱いしないでくれよ」
サスケは呆れたように頭を掻いた。
私はふっと笑ってから言葉を付け足した。
「今ここにいるサスケはイタ兄が想像しているほど弱いサスケじゃないよ…。ちゃんとした聞く耳を持っているし、復讐に全てを捧げたワケでもない。それに、もうイタ兄よりも強いんだよ」
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