黒白ノ風
493 光景
今まで全く気付かなかった。
いや、本来幻術というものは相手に気付かれないようにかけるものだ。
気付かなくて当然ともいえる。
「・・・」
それにしても、いったいいつから幻術を……
「・・・」
“ふざけるな!!”
…そういえばイタ兄が怒鳴ったあの時、私は無意識にもイタ兄と目を合わせてしまっていた。
そこからずっと幻術にかかっていた。
・・・ということは…
この幻術の中でサスケに言った言葉は全部無意味ということに…
[無意味じゃねぇ]
いきなりだった。
耳の中というか空間全体というか・・・
私でもよく認識できない場所からサスケの声が響いた。
「・・・!?」
[お前がかかっていた幻術をずっと外から見ていたからな…]
「どういうこと!!?」
どこに向かって言うまでもなく問いた。
[今幻術を解いてやる]
「おぉう…」
風景が一瞬にして変わった。
もうそこには冷酷なサスケもいなくて、サスケはいつもの仏頂面をしていて…
手裏剣が刺さったイタチもいなくて、イタチは無傷のまま蛇で拘束されていて…
私から血も出ていなくて、いたって健康状態で…
全ての光景がまぶしく思えた。
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