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黒白ノ風
492 此人
 「なぜだ…!!」
イタチがそう苦しそうに言った。


刀で切り付けられ、倒れる体。
景色が斜めに傾いてゆく。



ドサッ
私は地面に倒れ込んだ。

血が止まらない。

意識が混濁していく…
あぁ、ここで終わりなのか。
…私はイタ兄をかばってこうなったわけで、イタ兄は無事で・・・


 「なぜかばった!!」
 「イタ兄がさ、やられそうだったから…つい」
 「余計な世話だ!!」




 「また邪魔が入ったな」
私を切り付けた張本人、サスケは腕を振り、刀に付着した血をはらった。

 「だが、これでもう邪魔は入らない」
そして冷淡に言った。



 「くっ…」
サスケにこんなにも深い怪我を負わせられたのは初めてかもしれない。





 「・・・」
しかも、こんなサスケ…見たことない…




 「・・・?」




―…あれ、


この人はいったい…


誰なのだろう…?―



…一瞬だけそんな考えが頭をよぎった。




 「・・・」
そういえば違和感がありすぎる。
人間はこんな短時間でこんなにも冷酷になれるものだろうか。

サスケが幼い頃よりイタチを憎んでいたことは知っている。だが、この場所でイタチと会う前と後とでは違い過ぎるのだ。


現実逃避からこのようなことを思った訳ではない。
確実性を持ってして思ったことだ。





そして同時にこうも思った。
“ここはイタ兄の幻術の中かもしれない”…と。

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あきゅろす。
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