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黒白ノ風
47 不審
 「そうだな…まずは自己紹介からしてもらおうか」
開口一番が最悪宣言。
次にはどのような発言をするか身構えていたが、意外と普通な言葉だった。
最悪とは言ったものの、一応親睦は深めるようだ。
これもチームワークなのか。
 「どんなことを言えばいいの?」
 「好きなもの、嫌いなもの、将来の夢とか趣味。ま!そんなのだ」
好き嫌いと夢と趣味か。好き嫌いはある程度言うとして、夢は果たして言うべきなのだろうか。
私の夢は原作を変えることですv
などと言ってみろ。
たちまち私は変人へと昇格。あ、元々か。
それ以前に原作?何それ…といった感じになるだろう。
言わない方がいい。

 「それより先に先生のこと紹介してくれってば!」
 「そうね、見た目ちょっと怪しいし」
 「サクラ、ちょっとじゃないよ。不審者並に超怪しいよ」
私は変なものを見るようにカカシ先生を指差す。
すっげー、よく見るとうちの周りうろついてたストーカーに見えてきたよ。
あの人よく下着ドロで捕まってたなー。
などと思い出に浸ってみる。
すると、カカシは勝手に自己紹介を始めた。
 「俺ははたけカカシって名前だ。好き嫌いをお前らに教える気はない。将来の夢っていわれてもなぁ…趣味は「いかがわしい本の読書でーす」…!?」
何で知ってんのこの子…!
といった顔をするカカシ。
このカカシ先生の自己紹介、要するにはさんまの塩焼きと茄子の味噌汁が好きで、天ぷらが嫌いな夢のかけらもない変態のおっさんだ。
うん。私はそう解釈した。

 「じゃ、次はお前らだ。右から順に…」
そうカカシが言うと待ってましたといわんやばかりにナルトたちが順々に自己紹介をする。
そのなかでも、特にサスケはカッコ良かった。
嫌いなものなら沢山あるが好きなものは別にない。…くぅー、いいねぇ!
 「じゃあ次は一番端の子」
1人でテンションMAXになっていたところ、とうとう順番が回ってきた。
自己紹介なら何度もしているから別にいらないと思う。しかも書類とかで色々漏洩してると思うのだが。
まぁカカシ先生のためか。
 「私は便座のなで型、水野サチちゃんだ!カカスィ先生よろしくーv」
私は自己紹介になっていない自己紹介をする。
カカシと同じく名前しか分からない。これでおあいこだ。
 「…?あぁ…ヨロシク」
変な子だ!!!何て変な子なんだ!
そう思っているであろうカカシ。
片目でしか表情が伺えないが、まぁ大体は分かる。

 「…よし、自己紹介はここまで。まずはこの5人であることをやる」
カカシは急に改まり、言った。
 「それは、サバイバル演習だ」
 「演習なら学校でさんざんやったわよ!」
何故今そんなことをする?といったかんじでサクラが反論する。
 「ククク…」
すると何がおかしいのかカカシは腹で笑い始めた。
いきなり笑い出すものだからだいぶ不審だ。
通報されちゃうよ…カカシせんせ。
 「ちょっと、何がおかしいのよ先生!」
サクラはカカシの言動を見かね、言う。
 「いや…ま!俺がこれ言ったらお前ら全員引くから」
 「カカシせんせが笑った時点でもうすでにドン引きだよ」
先程から言いたかったことを言った。
ずっと言いたかったことを言えるとスッキリする。
今や身も心も軽くなったかのよう。
カカシは少々ショックを受けたようで、少し間を開け、続ける。
 「…卒業生28名中下忍と認められる者は僅か9名か10名。残り18名か19名は再びアカデミーへと戻される。この演習は脱落率66%以上の超難関テストだ」
カカシがそう言った途端しらけた。
それにしても、あの卒業試験に合格して喜んでいた親達はどうなるのだろう。
この試験で落ちてしまえば元も子もない。
未だにみんな引いている。
 「わーぉ大変」
私以外は。
これから起こることを知っているというのはとても都合がいい。知っているというのは自分自身の武器となる。
 「ハハハ、ほら引いた。…とにかく明日は忍び道具一式持って来い。それと朝めしは抜いてこい・・・吐くぞ」
引くもなにも、朝めしを抜くというのが私にとって苦だ。
こんな育ち盛りの時期に朝めし抜かなくてもいいのではないか。
 「詳しくはプリントに書いといたから明日遅れて来ないよーに!」
カカシはプリントを配布する。
私はそれを貰っているとき、お前がな!と激しくつっこんだ。心の中で。

プリント見ても何にもならないので、紙飛行機にして、飛ばした。
青空を優雅に舞う紙飛行機。
 「ハハ…」
カカシはそれを凝視する。
…この子本当に大丈夫なの?
カカシまでも心配させる私だった。

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あきゅろす。
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