黒白ノ風
468 右腕
「・・・」
その理由は分かっている。
「…私は素敵だと思うけどな。」
「・・・」
香燐は右腕をかばいながら無言で振り向いた。
その右腕には噛み跡が沢山付いている。
香燐の腕に噛み付けば同意のもとチャクラを分けてもらえる。
香燐の能力だ。
そしてこの右腕の跡はその能力を使用したがためについたもの。
「哀れみのつもりか?」
「違う」
「ならなんだよ…」
香燐は少々苛立ちが混ざった声で返答した。
「それは人を治したから付いた傷でしょ?治した人の数だけ付いてる…」
「・・・」
「人の為にやったのにそれを隠して生きなきゃいけないなんてさ、嫌だと思わない?」
「・・・まぁな…」
「この時間なら誰もいないと思ったから今お風呂にいるのに何でわざわざ出て行くの?」
「・・・ほら、これ気持ち悪いだろ?」
「え、なにが?」
「・・・」
「だてに香燐のファンやってないよ」
「…やっぱサチは変わってるよな。・・・まぁいい。じゃあもう少し浸かるとするか」
チャプ…
香燐は再び湯舟へと体を戻した。
みるみる上気していく香燐の表情はかわいいと思った。
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