黒白ノ風
459 虚無
「・・・」
ポジティブポジティブ。
そうだ、ポジティブを保つんだ。
受付の隣にあるソファーでうなだれながら心の中でそう唱えた。
ちらりと前方に目をやると売店がある。
ここからではよく見えないが品数は豊富なようだ。
後で行ってみよう。うん。
後でね…
そのまま時計に目をやると、針は午後9時42分をさしていた。
ちなみに私がこの宿に到着したのは午後8時37分あたりだ。
迷子アナウンスの直後から1時間余りこのソファーで待っているのだが、誰一人として迎えに来ない。
そう考えると目の前が霞む。
先程涙目になった私を哀れに思ったのか、受付の人が飴をくれた。
ちなみに今も哀れみをこめた視線を私に送っている。
「・・・」
うん。
きっと誰か来るさ。
そうだ、きっとなんか用事があって来れないんだよ。
例えば…香燐のメガネが爆発したとか、サスケが天然パーマになったとか、水月が干からびたとか、重吾が鳥と結婚したとか・・・
うん。きっと何か理由が…
ガタ…
私は机に突っ伏した。
ひんやりとした机が私の変に昂揚した心を鎮めていく。
「・・・もう疲れたよパ○ラッシュ…」
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