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黒白ノ風
43 再払
 「呼ばれた者は1人ずつ隣の教室にくるように」
イルカ先生は手に成績が貼ってあるであろうボードを持ちながら言う。
教え子の試験ということもあり、少々緊張の面持ちだ。
今日は楽しい楽しい卒業試験。
私は去年と違い、受かる気満々だ。
昨日は、今年ミズキに何をしてくれようかと家で行錯誤を練っていた。
おかげで完璧な計画ができた。ような気がする。

 (サチ)
1人でニヤリと笑っていると、ナルトが会話術で話しかけてきた。
 (ん、何?)
まさか今年も落ちろとか言うんじゃないよね?もしそうだったらミズキに八つ当たりしてやる。
 (俺、今回も落ちるから)
…やっぱり。そう思った。
 (へーい)
私はちょっとしゅんとなった。
…まてよ、違う。原作とは違うじゃん。
これで落ちたらサスケとかサスケとかサスケとのワンダフルライフがぁ!
 (サチは受かれよ?俺はただミズキの行動を監視するだけだ。最近あいつ、怪しいからな)
 (おぉう…よかった)
私は普通に受かっていいのか。よかったー
私はほっと安堵の息をもらす。
 「次、うずまきナルト!」
隣の部屋からイルカ先生の声がした。
 「行ってくるってばよ!」
 「逝ってらー」
ナルトは席から立ち上がり、隣の教室へと消えた。落ちる気満々で。

その後、しばらくしてもナルトは帰ってこなかった。次の人の名前が呼ばれる。
おおかたナルトのことだから落ちた時の演技をするのがめんどくさかったのだろう。
ぼーっとしていると
 「次、水野サチ!」
と、名前を呼ばれた。
私は静かに立ち上がり、隣の教室へと歩を進めた。無機質な廊下がこみ上げる思いを鎮めてくれる。

ガラッ
教室のドアを乱暴に開く。中にはイルカ先生1人しかいなかった。
あれ?あいつは?そう思った。
イルカ先生の座っている机の上には生徒全員分の額当て。
私は更に中へと進む。
するとイルカ先生の座っている机の隣の机の下から足が出ているのを発見した。
…どこぞの殺人現場じゃあるまいし。
私はイルカ先生と目で会話をする。
 (…先生、何?何これ?)
 (ミズキだ)
 (うへ、きも)
 (…はは)
目でのやりとりが終わる。
ミズキは一年前のトラウマがまだ残っているのか、机の下に潜り込んで非難訓練状態である。
そんなミズキをよこそに私は分身をすべく印を組んだ。
 「いっきまーす」
私がニヤリと微笑みながらそう言うと
ヒョロロロロー
私の分身が10体出現した。ライチュ○、カメック○と一緒に…
これは計算通り。遺影っv
イルカ先生は額に手をあて、またか…と呟いている。そう、去年の二の舞だ。
 「ライチュ○、カメック○!ちみに決めた!!逝け、かみなり、ハイドロポンプ!!」
ライチュ○、カメック○はそれぞれ電気と水を発する。
2匹の分身から発せられたどでかい雷と膨大な水は合わさって強力なものになった。
それは、真っ直ぐとミズキの隠れる机へ………
 「ぎゃあああああ」
ミズキの断末魔が教室一帯にこだます。
哀れ、水着!あっ、間違えた…ミズキ!
ミズキの隠れていた机はもはや原型を留めていない。
黒い丸焦げの物体がそこにあるばかりだった。
…とりあえずミズキを倒した!
ライチュ○とカメック○は2の経験値を得た!ワァイ。
その光景をイルカは止めることなく呆然と見ていたのだった。
にしても、ぼーっとしすぎではないか。
 「イルカせんせ?」
あまりにも呆然としていたので問いかけた。
 「ぁ、あぁ合格だ!よくやったな」
すると気づいたかのように述べる。
…あの電気を発する黄色い物体と、水を発する青と茶色の物体は何だ??…それにしても、ミズキ、本当に中忍だよな?そうだよな?

 「イルカ先生、コイツ起こしていい?」
コイツとはもちろんミズキのことだ。
 「あぁ、よろしくな…試験続行できないからな」
 「了解ー」
この時を待っていた。
私は懐をゴソゴソとさぐり、黒い物体を取り出した。
 「よし」
そう呟き、黒い物体のキャップを外す。
これは私特性のマジックだ。
インクの中にチャクラを流し込んで作ったのだ。
油性の中の油性ペンである。
それをミズキの右目の下辺りではしらせる。そこに書いたのは、ハゲという2文字。
 「カメック○、水でっぽー」
プシュー
ミズキの顔面に水をかける。するとミズキは気づき、起き上がった。
 「…ん、うわぁ!」
起き上がった途端、目の前にカメック○がいるものだから慌ててミズキは後ろへ飛びのいた。
 「じゃーね、イルカ先生」
私は口の下辺りで人さし指を立て、しー
と言い、口止めをしておいた。
額当てを手に持ち、教室を後にした。

 「サチ、今の叫び声どうしたんだ?」
教室に戻って早々にキバが話しかけてきた。
 「私じゃないよ」
それだけ言う。
 「次、犬塚キバ!」
 「ぁ、俺だ」
 「見れば分かるよ」
 「…?」
キバはいぶかしげな顔をした後、教室を後にした。
少しして…
 「ぎゃはははははははははは!!」
キバの笑いが教室中にこだましたのだった。

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あきゅろす。
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