[携帯モード] [URL送信]

黒白ノ風
444 現実
あれから少し経った。


私は青白い顔をしているイタチの顔を覗き込んでいた。

“少ししたら目覚めますよ”
白の言葉がよみがえり、いつ起きるか今か今かと待ち侘びているところだ。

白は先程イタチの薬を取りに部屋を出て行ったのでそろそろ戻ってくるころであろう。

 「・・・ぅ」
 「イタ兄・・・?」
その時、今までじっとしていたイタチからうめき声が上がった。


 「白!!」
 「…なんですか。あまり騒がないで下さい・・・って、イタチさん!」
部屋へと戻った白はイタチをみるやいなや駆け寄った。
 「大丈夫ですか」
 「・・・あぁ」
私と同様、白も幾分か安心したようだった。


 「全く、何をしたんですか。あれほど大声を出すなと言ったじゃないですか」

 「・・・イタ兄は大声だしちゃいけないの?」
 「えぇ、肺と腹に負担がかかりますからね。あまり叫んだり怒鳴ったりすると寿命を縮めることになります」

 「・・・」
肺と腹、負担、寿命・・・いきなり現実的な単語が出てきて頭がついていかない。
ただ一つわかったことは、イタチの命はそう永くないいうことだけ。


 「・・・」
病気…か。
きっと不治の病なんだろう。

治療で治るものならば白がとっくに治しているだろうし。


 「・・・」
だけど、最後くらいは…




 「・・・白、イタ兄のことよろしくね。」

 「えぇ・・・帰るんですか?」
 「うん。イタ兄が目、覚まして安心した。それに私も一応小隊に所属してるからね」

 「よく見つけましたね。サチさんなんかが所属できる小隊…」
 「まぁね」
白の発言にはもうだいぶ慣れた。

 「まぁ、ともあれ帰路にも気をつけて下さいね」

 「ありがとvじゃあね!」
そう残してから私はイタチの部屋を後にした。

[←][→]

17/49ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!