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黒白ノ風
440 威嚇
ザッザッ
足音を立てながら私に近づいてくるトビ。

 「・・・」
私の足は固まって動かない。

しかしどんどんトビは近づいてくる。


私のもとまであと、

4歩…


3歩…



2歩…




1歩…





バァン!
突如、乾いた音が室内に響いた。
 「サチに手を出すな」
音の主はイタチだった。

イタチは私とトビに挟まれるような形でトビの前に立ちはだかり、横の壁に手を叩き付けて威嚇した。



 「うひゃー先輩怖いっすよー」
トビはおどけたふりをしてその場に尻餅をつく。


 「…せろ」
 「・・・ぇ?」


 「初めに言ったはずだ!!・・・失せろ!!!」




イタチの本気の顔を初めて見たかもしれない。
私は開いた口がふさがらなかった。





トビが出て行ったことを確認するとこちらを振り向いたイタチ。

そしてそのまま口角を吊り上げてから
ドサッ
その場に崩れた。


 「ゲホ…ゲホッ!」
口元を抑えながら咳込む。

ポタタッ
その指の間からは無数の血が…



 「イタ兄!!」
そうだ…イタ兄は病気を…
 「…ちょっと…大声を、出し過ぎたか…」
 「・・・」
頭の中が一瞬だけ真っ白になった。
よぎったのは“死”という一文字だ…

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