黒白ノ風
436 空気
緊迫した空気が流れる。
私が少しでも動こうものなら首が飛んでしまうような下から突き上げるような殺気。
久々にこんな強い殺気にさらされた私の体は今にも震え上がりそうだ。
「・・・」
まだ諦めてはいない。
私はまだ動ける。
「・・・」
「…うちはマダラが…」
「・・・!」
「マダラがサスケに目をつけてる。だから…」
届いてほしい。
私の思いが。
最悪な結末をイタチ自ら望まないでほしい。
私が体験したことのないような散々な苦労をしてきたのに。
イタチは里を抜けた時からサスケに殺されることを望んだ。
サスケを英雄にしたてあげるために。
“仕方ない”
そんな一言で片付けられてしまうような一族の事情を抱えながら。
うちは一族がクーデターを起こさないように見張り、
いざというときのため力をつけるために慕っていたうちはシスイをも殺して力を手に入れ、
里からの任務で一族抹殺を遂行した。
一人手をかける度に荒んでいく己の心を無視しながら最後にサスケにたどり着いたイタチは…
ポタ…
一つの雫が零れた。
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