黒白ノ風
431 噂話
「…あ・・・」
思わず言葉に詰まった。
もう私の噂はイタチにまで広がっているのか。
「・・・」
「・・・」
またもや会話に間があく。
「・・・サチ、」
やはりというべきか、話を切り出したのはイタチだった。
「…ふっ妹よ、暁に入団しにきたのか?」
「・・・ぇ」
「大歓迎だ!!家賃はタダ。敷金、礼金ゼロ!!」
「いや、違…」
「メシも鮫が作ってくれるぞ!…変わりに任務をこなせば…」
「・・・イタ兄、違うよ」
「・・・。」
「・・・あぁ。…知っている。お前は木の葉の里を抜けてサスケと共に行動しているそうだな」
「うん、そうだよ」
なんだ、知ってたのか。
「暁に入る気はないか試しただけだ」
「ん」
「・・・あ、あとサチ・・・お前、さ、サスケと付き合っているというのは本当か・・・?」
いきなりイタチはぶるぶると手を震わせながら搾り出すように言った。
「・・・は?」
「い、い、い、いやいや、…交際しているならいいいいいんだ・・・たたたただ兄さんは、し、心配で心配で…」
大丈夫などと言ってはいるが、唇を噛み締め、何とも言えぬような顔をしている。
・・・というよりどんな噂が広がっているのだろうか。
付き合ってるって…
「この世に平和と安定をもたらすカップルが現れたなどと…サチとサスケのことだろう?」
「・・・ぇ」
「そういう噂が出回っているんだ」
「・・・」
平和と安定をもたらす…
まてよ、その台詞どこかで…
「・・・!」
水月だ!!
きっと水月が香燐のいたアジトの囚人さんを解放しようと牢屋を開ける際、囚人さんたちにそういう噂を広めろって言ったんだ…
「・・・その噂は違うよ」
「そうか。ならいいんだ」
一気にイタチの表情が明るくなった。
ような気がする。
「…あは」
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