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黒白ノ風
429 息吹
鬱蒼とした森を抜け、道中なにもなく無事に暁のアジトへと到着した私。
暁のメンバーですらない私が簡単に出入りしていいのかと思うほどの警戒の無さである。

まぁ、アジトまでの道を知らなければこうして入ることはできないが。

誇張な表現だが“暁”というグループに信頼されているといってもいいかもしれない。


静寂が漂う。
ここでは木の息吹ですら聞こえてきそうだ。
周りに木や草や建物があるのに、何もない空間に一人でいるような感覚に陥る。

 「・・・」
…やはり相変わらず不気味な場所だ。

だけど変わらないであってくれているところが私は好きだ。
・・・帰ってきた。

そんな気分になるから。



 「ただいま」
と言ってみる。

 「おかえり」
なんて返事が返ってきたら最高なんだけど。


 「…おい、聞いているのか…サチ」
 「・・・?」
あれ…後ろに人が。
しかもこの声は…

ある人物を思い浮かべながら背後からの声にゆっくり振り向く。
・・・そこにはイタチの姿が。

 「イタッチー!」
 「あぁ、おかえり」
 「うはっv」

先程のおかえりは幻聴ではなかったようだ。
それから私はにっこりと笑って
 「ただいま!!」
ともう一度言った。

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あきゅろす。
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