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黒白ノ風
41 始動
 「サチー!火影岩に落書きしようってば!」
 (日頃の恨みだ)
そう元気にナルトは言った。
会話術も付属されている。今日もイタズラ三昧。
…もう来たのか。
私はそう思った。
今までこちらに来てから修行したり暗部の任務を遂行したり時には遊んで暮らしてきた。
本当に楽しいと時間が早くたってしまうものだ。
しかし、楽しかったことはもう過ぎた。
だけど私の中にはちゃんと刻まれ、残っている。
今まさに物語が始まる前置きを終えたかのように思えた。
火影岩への落書き。これはナルトが原作でいの一番にしでかしていたイタズラだ。
もう始まってしまった。
やり残したことは無いか?悔いはないか?
修行なら沢山やった。術のレパートリーも沢山ある。
…原作を変える。一筋縄ではいかない強行。
修行を沢山したけどまだまだ足りないかもしれない。
そんなことが私の頭の中でぐるぐると回っていた。

 「…サチ?今日は落書きしないってば?」
 (どうかしたか?)
ナルトが私に心配そうに話しかけてきた。
…どうやら私はずっと考え込んでいたようだ。
 「ぁ…落書きするー!待ってました!」
 (少しぼーっとしちゃった。…じじいの顔は私にやらせてね)
私はナルトに大丈夫ということを伝える。
不安にさせてどうする。…普通にいけばいいんだ。普通に。
 「んじゃ行こうってばよ」
 (じじいは俺がやろうとしてたのにな。まぁいい、とびっきりキモくしてくれ!)
ナルトは安心したかのようにニシシ、と笑う。
 「うん!…早く行こ」
 (当たり前じゃんv)
私もそれと同じように笑った。

少し歩くと火影岩に辿り着いた。
そこに落書きをするべく、ナルトはゴンドラを設置し始める。
 (ナルトー、そんなん取り付けなくてもチャクラで壁に張り付いてやればいいじゃん?)
ナルトの行動に疑問を感じ、問う。
 (アカデミー1のドベが壁のぼれるわけねぇだろ)
するとナルトは当たり前といわんばかりに答える。
 (…あ、そっか)
確かにアカデミーの中でも随一のドベが壁なんぞを手を使わず登っていたらおかしいこと極まりない。

 「…まぁ、いっちょ描きますか」
私は火影岩に足を吸着させ、3代目火影の岩まで行く。そしてペンキをセットする。
…さて、何を書いてくれようか。
まずは簡単なとこからやりますか。
目ぇ白いから黒で瞳書いてー。
ぁ、まつ毛を生やして差し上げよう。
モチロン鼻毛もね。
まゆ毛太くして、額にはシワをくっきりと刻んでしんぜよう。
でもって顔全体の色を緑色にー・・・うわキモッ!!
 「サチ、すごいってばよ」
 (やりすぎだ!)
私の芸術的なアートを見かねたナルト。
ナルトはやり過ぎと言っているが全くもって満足していない。
例えこの落書きされた哀れな岩を爆破しても満足しきれないだろう。
 「そう?」
 (まだ足りないくらいなんだけど)
 (どんだけ恨みあるんだよ!)
 (まぁそこそこ)
 (消すの大変だな)
 (ぁ…そこ考えてなかった・・・じじい下にいるよ)
下を見下ろすと私の芸術的な落書きを見に来た(勘違い)人が沢山いた。
その中にはじじいもいたのであった。
 (あぁ、気付いてる)
ちっ。ここまでか。もっと落書きしたかった。
また今度しようと誓った私である。

 「何やってんだ!早く降りてこい!馬鹿ものどもー!!」
3代目の近くでフェンスに足をかけながら私たちを怒鳴りつけたのはイルカ先生だった。
 「やべイルカ先生だ!」
 (いいとこだったのに)
ナルトが舌打ちをする。
 (ごもっともだよ)
私も同じく舌打ちをする。
この後、イルカ先生と木の葉隠れの里全体で鬼ごっこをくりひろげたのであった。

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あきゅろす。
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